日本臨床細胞学会雑誌
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嚢胞内乳頭癌と乳頭腫の細胞学的研究
鈴木 眞喜子佐藤 裕美子長谷 とみよ小室 邦子武田 鉄太郎松田 堯高橋 優斉藤 博之中村 克宏
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1983 年 22 巻 3 号 p. 554-558

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抄録

嚢胞内乳頭癌2例, 異型乳頭腫4例, 乳頭腫5例を対象として, H-E染色病理組織標本上の細胞所見を検討した.参考として, 切除材料擦過塗抹標本上のPapanicolaou染色細胞と比較した.
H-E染色病理組織標本の検討では, 核長径平均は, 乳頭癌が9.28μm, 異型乳頭腫が8.66μm, 乳頭腫が8.25μmであったが, 癌, 非癌ともに15μm以上の大型核は検出されず, 核の大きさだけで両者を鑑別するのは困難であった.
1μm以上の核小体検出率は, 乳頭癌では67%, 82%であったが, 非癌では80%以上のものはなく, ほとんどが60%以下であった.2μm以上の大型核小体も, 癌例ではすべて20%以上の検出率であったが, 非癌例では大多数が10%に満たなかった.
切除材料擦過塗抹標本のPapanicolaou染色細胞をH-E染色病理組織標本と比較すると, 核はやや大型で, 核小体検出率も高い傾向があったが, 乳頭癌, 異型乳頭腫, 乳頭腫それぞれの細胞像の性格はよく対応する結果であった.

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