日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸癌株 (SKG-IIIa) Alkaline Phosphataseの誘導
酵素抗体法および酵素細胞化学による観察
野沢 志朗蔡 篤仁小島 雅彦鄭 成輝新井 宏治ツォクロ ウィジャヤ宇田川 康博太田 博明栗原 操寿小松 遵至
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1983 年 22 巻 3 号 p. 604-614

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抄録

子宮頸癌由来SKG-IIIa株細胞を用いて, alkaline phosphatase (ALP) の酵素蛋白および酵素活性を形態学的に観察した.
1.満期産胎盤由来粗精製ALPで免疫した家兎抗血清よりProtein A-Sepharose CL-4BcolumnでIgGを得, これにhorseradish peroxidase (HRPO) を標識し, Sephadex G-200により得たHRPO標識家兎抗後期胎盤型ALP IgGを用いて酵素抗体直接法を行った.さらに, この結果を熱処理を併用した酵素細胞化学による結果と比較検討した.
2.SKG-IIIa細胞には後期胎盤型ALPの活性および蛋白が存在した.遺伝子発現に関与するといわれているsodium butyrateを添加すると, 後期胎盤型ALPを有する細胞は減少し, その代わりに, 熱感受性ALPを持つ細胞が増加した.同様な作用を有するprednisolone添加では, 後期胎盤型ALPを有する細胞が少しく増加した.
3.電顕的組織化学によりALP活性は細胞膜ばかりでなく, 蛋白合成に関与するroughendoplasmic reticulumやGolgi装置などにも認められた.
4.以上の事実よりSKG-IIIa細胞には少なくともALP isoenzymeの二つの遺伝子が存在し, ALP酵素蛋白は, 蛋白合成のcentraldogmaに従って作られることが形態学的に示唆された.

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