日本臨床細胞学会雑誌
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肝穿刺吸引細胞診で診断が確定したアメーバ症の1例
仲間 健松井 克明伊藤 悦男崎原 永敬平良 浩章
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1985 年 24 巻 2 号 p. 174-177

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抄録

直腸生検でアメーバ性大腸炎の疑診を受け, 超音波映像下肝穿刺吸引細胞診で赤痢アメーバを証明し, アメーバ (アメーバ性肝膿瘍) と確診された1症例を報告した.
肝穿刺吸引物の塗抹標本では赤痢アメーバの数が少なく, また, パパニコロー染色ではその検出は容易ではない.他方, PAS染色では赤痢アメーバは強陽性に染まり, 40倍の低倍率で鏡検しても検出することが可能であった.
肝の穿刺吸引物が茶褐色ないし赤褐色の粘稠で濃厚な液体であればアメーバ性肝膿瘍を疑い, 必ずPAS染色を施し鏡検することが肝要である.
超音波映像下穿刺吸引細胞診の腫瘍診断における有効性についての報告は散見されるが, 非腫瘍性疾患であるアメーバ性肝膿瘍でもその有効性が確認できた.

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