日本臨床細胞学会雑誌
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アミラーゼ産生を示した卵巣類内膜癌の1例
布川 茂樹菰田 温美松田 勲上中 雅文熊谷 千晶井上 幸男松田 壮正松田 琢磨岩崎 琢也
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1986 年 25 巻 3 号 p. 547-551

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抄録
卵巣腫瘍のアミラーゼ産生は, 漿液性嚢胞腺癌において認められることがすでに報告されている. われわれは, 類内膜癌の症例で, 唾液腺型アイソザイムが優勢の高アミラーゼ血症を伴った1症例を経験したので報告する.
患者は59歳女性で, 多房性, 一部充実性の右卵巣腫瘍と診断され, 摘出手術をうけた.アミラーゼ活性の上昇は血中に加えて, 摘出腫瘍組織のホモジネートでも認められ, 腫瘍摘出後には血清アミラーゼ値は正常値に復した.摘出した卵巣の捺印標本には乳頭状に重積配列を示す細胞集団が認められ, 酵素抗体法により検索した結果, 腫瘍細胞の胞体内にアミラーゼ抗原の局在を認めた.
アミラーゼは卵巣腫瘍の診断および治療における腫瘍マーカーとして有用であり, 特に細胞診で腫瘍細胞の胞体内にアミラーゼ抗原を証明することは診断的価値がきわめて大きいと思われる
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