日本臨床細胞学会雑誌
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腹水細胞診で膵glucagonomaが推定された1症例とその培養
中口 竹紀小野 勲鴇田 尚彦相馬 雅行石渡 千恵子石渡 勇
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1986 年 25 巻 4 号 p. 737-740

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抄録
最近, われわれは膵臓癌患者の腹水細胞診にglucagonのmonoclonal抗体を用いたPAP法による免疫染色を施し, glucagonomaと診断した1症例を経験した.症例は71歳の婦人で腹部腫瘤と高血糖のため他院より紹介された.超音波診断装置下に生検と腹水が採取された.腹水のPapanicolaou染色標本では, 腫瘍細胞は核の大小不同, 核染色質の粗大凝集性, 核小体の肥大がみられた.細胞質には免疫酵素細胞学的にglucagonが証明された.剖検すると腫瘍は膵体部にあり, 大網と肝臓, 所属リンパ節に転移していた.病理診断はglucagonomaであった.膵体部腫瘍を組織培養すると培養上清中にglucagonが産生されていた.
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