日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺異型腺腫atypical adenomaの1例
池永 素子坂本 穆彦佐藤 之俊都竹 正文平田 守男原島 三郎河西 信勝
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1988 年 27 巻 1 号 p. 88-91

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抄録

甲状腺濾胞腺腫の一亜型であるatypicaladenomaは, 一般の濾胞腺腫に比べ, 構造および細胞異型の強い特異な疾患である. 今回, われわれは本症の1例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.
患者は34歳の主婦で, 4年前に左前頸部の腫瘤に気付き, 3年間の経過観察後, 甲状腺左葉・峡部切除術が施行された. 術前の細胞診所見は, 多数の好中球, 組織球などを背景に大小不同性のある腫瘍細胞が, 小集塊状ないし孤立性に認められた. 細胞質は豊富で, 核は肥大し, 核形不整, 核クロマチンの増量があり, また, 腫大した核小体を伴っており, class IIIと診断された. 細胞診所見のみでは, 本症を診断することは困難であるが, 組織学的所見に相応の細胞像であった.

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