日本臨床細胞学会雑誌
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気管支ブラシ洗浄細胞診
洗浄容器の改良を中心として
三浦 弘之加藤 治文小中 千守河手 典彦早田 義博三浦 玲子越川 真理子海老原 善郎
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1989 年 28 巻 3 号 p. 403-408

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抄録

最近の中心型早期肺癌症例の増加により, 小病巣や生検鉗子の到達できない部位からの材料採取の必要性や, CISや高度異型化生との鑑別の重要性から, 気管支鏡施行医の巧拙による差の少ない, より細胞数が多く, よりよい細胞診標本が必要となってきた.
そこで肺癌の細胞レベルでの診断率を向上させるため, 気管支ブラシの洗浄容器の改良と, それを用いた細胞診の有用性を検討した.直接塗抹標本と比較して, ブラシ洗浄標本は以下のような利点, 欠点が指摘された.利点:(1) 採取細胞量が多い:(2) 均一に塗抹される.(3) 固定状態がよい.(術者の巧拙による差が少ない.)(4) オートスメアの使用により, 塗抹範囲が一定しており, スクリーニングが効率的である.(5) 洗浄容器での材料保存が可能で, 必要に応じて他の染色法を用いることができる.欠点:(1) 遠心の操作が増える.(2) 容器代がかかる.
気管支ブラシ洗浄細胞診は, 簡単で, 検査時間を延長させることなく, 弊害もなく, 肺癌の診断に寄与するところが大きい.

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