日本臨床細胞学会雑誌
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縦隔悪性胚細胞性腫瘍6例の細胞診所見
川井 俊郎藤井 丈士角田 尚久久保野 幸子羽石 恵理子芳賀 美子斎藤 達也北村 諭斎藤 建
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1990 年 29 巻 1 号 p. 26-32

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抄録
原発性5例, 転移性1例の縦隔悪性胚細胞性腫瘍の細胞像を報告する. 6例とも青壮年男子に発症し, 精上皮腫を除く5例で血中AFPあるいはHCGが上昇していた.
5例で穿刺吸引細胞診が行われ, そのうち3例で確定診断が可能だった. 胎児性癌と未熟奇形種の合併した奇形癌では, 腺癌i類似細胞集塊と, 未熟上皮と未熟問葉系細胞の混在した集塊が確認された. 卵黄嚢腫瘍では胎児性癌に類似した上皮細胞集塊内にPAS陽性の硝子体が認められた. 壊死性背景に合胞様多核細胞をまじえた異型細胞が認められた例では, HCG陽性腫瘍細胞の確認により絨毛癌と確定診断された.残る2例の異型細胞の由来は同定できなかったが, 1例では後に胸水細胞の免疫細胞化学的検索で, 腫瘍細胞の一部が未熟神経組織由来であろうと推定された.精上皮腫では, 捺印細胞診で核小体の明瞭な大型腫瘍細胞とリンパ球からなるtwo cell patternが認められ, 診断は最も容易だった.
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