日本臨床細胞学会雑誌
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Alpha-fetoprotein産生肺癌の1例
立花 亨和田 正彦増田 栄治橋本 健太郎山本 俊明米田 正太郎置塩 達郎松田 実
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1990 年 29 巻 1 号 p. 33-36

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抄録
最近, われわれは肺腫瘍としてはまれな, Alpha-fetoprotein産生の低分化腺癌の穿刺吸引細胞診を経験したので報告した.
症例は70歳女性, 胸部X線像にて右上肺野, 縦隔寄りに巨大な腫瘤陰影が認められ, 血清AFP値が高値を示した.穿刺吸引細胞診では平面的あるいは不規則重積性に配列した異型細胞が多数出現していた.これらの細胞は細胞質が豊富で顆粒状を呈し, 大小不同がみられた.クロマチンは増量し粗顆粒状不均等分布し, 大型類円形の核小体が1個認められた.PAS染色では一部の異型細胞がびまん性に陽性を呈し, 酵素抗体法により腫瘍細胞内にAFPの局在が証明された.
なお, 肝臓や消化器, 卵巣などに腫瘍は認められず, 穿刺吸引細胞診にてAFP産生の肺腺癌が推定された.肺生検および剖検にて肺原発性の低分化腺癌と確診された.
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