日本臨床細胞学会雑誌
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肺原発良性線維性組織球腫の1症例
井門 明清水 哲雄坂井 英一藤田 結花辻 忠克佐々木 正美小野寺 壮吉藤田 昌宏
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1990 年 29 巻 6 号 p. 877-882

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抄録

きわめてまれな肺原発の良性線維性組織球腫の1例を経験したので報告した.
症例は52歳女性で, 健康診断にて胸部X線写真上異常陰影を指摘され入院した. 右下葉に径30mm×25mmのだ円形で辺縁鮮明・均一な濃度を有するcoinlesionを認め, 諸検査の結果, 悪性腫瘍の疑いが否定できなかったので, 腫瘤摘出術を施行した. 腫瘤は表面平滑・弾性硬で, 組織学的にBFHと診断した. 細胞所見は, 核異型に乏しい線維芽細胞様細胞と組織球様細胞が混在して認められ, 細胞集塊はstoriform patternに類似した細胞配列を呈していた.
本疾患は, 肺に原発することはきわめてまれで, さらに術前診断は容易ではないと考えられるが, 細胞診にてstoriform patternを呈する線維芽細胞様細胞および組織球様細胞を認めた場合, 本症の可能性を考慮して細胞所見を検討する必要があると考えられた.

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