日本臨床細胞学会雑誌
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Placental site trophoblastic tumor (PSTT) の1症例
小松 敏也伊熊 健一郎太子 やえ興梠 隆竹村 正
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1991 年 30 巻 3 号 p. 611-617

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抄録

子宮頸部が原発と考えられるPlacental site trophoblastic tumor (PSTT) について, 細胞診断学的所見を中心として報告する.
患者は, 9年前に妊娠中絶の既往のある44歳の主婦で, 性交時出血を主訴として来院した。初診時所見では, 外子宮口付近にポリープ様隆起物を認めた.
細胞診所見では単核, 多核といった特徴的な細胞がみられ, 特に多核細胞は単核細胞に比して細胞がより大型, かつ核小体はいっそう明瞭であった.術前生検の病理学的診断とも合わせPSTTを含む絨毛性疾患を疑い, 右卵巣を残して単純子宮全摘及び付属器摘除の手術を行った.
摘出病理標本の免疫酵素抗体法所見では, 腫瘍細胞はhPLの局在性が強くhCGの局在性は弱く, 最終的にPSTTと診断した.またPapanicolaou染色細胞診標本を脱色して行ったhPL染色でも, 長円形ないしは短紡錘形の単核細胞により強いhPLの局在性をみた.
単核もしくは2~3核の特徴的なintermediate trophoblast (IT) から構成されるPSTTの診断にも細胞診断学はきわめて重要であることが示唆された.

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