日本臨床細胞学会雑誌
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肝転移をきたした卵巣原発悪性カルチノイドの1例
伊藤 園江大田 喜孝原武 晃子森塚 祐子大田 桂子楳田 明美伊藤 裕司中村 康寛谷村 晃
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1991 年 30 巻 4 号 p. 718-722

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抄録

転移をきたす卵巣悪性カルチノイドはきわめてまれである.われわれは肝穿刺吸引細胞診で肝細胞癌とし, 剖検後の検索で卵巣原発カルチノイドの肝転移であった症例を経験した.細胞診では腫瘍細胞は比較的小型で敷石状ないし結合性の粗な平面的集団として出現しており, ライトグリーンに好染する細胞質およびクロマチン染色性の増加した円形核を有し, 肝細胞癌との鑑別困難な細胞像を呈した.組織学的にはtrabecular patternを主体とするカルチノイド腫瘍であり, グリメリウス染色で陽性, フォンタナマッソン染色で陰性, クロモグラニンによる免疫組織化学染色で細胞質内に陽性を示した.電顕は限界膜に囲まれた電子密度の高い200~400nmの神経内分泌顆粒が細胞質内に多数みられた.

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