日本臨床細胞学会雑誌
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30 巻 , 4 号
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  • 笹川 基, 石井 美和子, 山田 潔, 佐々木 敏江, 半藤 保
    1991 年 30 巻 4 号 p. 639-645
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮摘出術により得られた正常初期妊娠10例, 非侵入全奇胎5例, 侵入全奇胎3例, 妊娠性絨毛癌6例を研究材料とし, これらでみられる4つのtrophoblast subpopulation, すなわちcytotrophoblast (CT), syncytiotrophoblast (ST), intermediate trophoblast (IT), 多核ITの細胞異型性を, 細胞径, 核径の大小不同などに着目し形態学的に検討した. この結果, 非侵入奇胎, 侵入奇胎, 絨毛癌でみられるITの細胞径, 核径, ならびに絨毛癌ST様細胞の核径は正常妊娠より大きく, 大小不同が著明であり, 細胞異型性が認められると思われた.
    正常妊娠のITはきわめて旺盛な細胞増殖を示し, sisやmycなど発ガン遺伝子の発現されていることが報告されている. 胞状奇胎のITは正常妊娠以上に激しい増殖を示すことから, これら細胞には正常妊娠のIT以上に強く発ガン遺伝子が発現されていることが推察されるが, 胞状奇胎のITに著明な細胞異型性がみられたことは, 奇胎根部に存在するITの絨毛癌発生母細胞としての可能性を示唆するものと思われた. また, 絨毛癌のST様細胞に核異型性がみられたが, 絨毛構造が証明できない絨毛性疾患組織で胞状奇胎と絨毛癌とを鑑別診断する際に有用な所見と思われた.
  • 山田 潔, 塩田 吉一郎, 石井 美和子, 笹川 基
    1991 年 30 巻 4 号 p. 646-650
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    trophoblastにはsyncytiotrophoblast (ST), cytotrophoblast (CT) の他, cellcolumnなどに存在するintermediate trophoblast (IT) がある. 流産の子宮内容物を用いた捺印細胞診に出現するtrophoblastを細胞形態学的に観察し, 捺印細胞診のもつ臨床的意義を検討した
    自然流産36例 (妊娠5-14週) の子宮内容物を捺印後, パパニコロー染色して形態学的観察を行い, 以下の結果を得た.(1) 細胞診に出現するのはSTとITであり, CTは観察されなかった.(2) 病理組織診で絨毛がみられた26例中25例の細胞診でSTが観察された.一方, 組織診で絨毛のみられない10例中1例でSTが観察された.他の9例中6例は完全流産, 3例は卵管妊娠であった.(3) ITは16例でみられ, 妊娠週数の若い症例で多数観察される傾向が認められた.(4) 26例中19例のSTに細胞質内空胞がみられ, 流産trophoblastの細胞学的特徴と思われた.
    流産例では子宮外妊娠の除外診断のため子宮内容物の病理組織検査が行われるが, 胎児成分であるtrophoblastの証明をするうえで, 捺印細胞診は組織診に優るとも劣らぬ成績を示した. 細胞診は簡便性, 迅速性, 経済性などに優れており, 流産における子宮外妊娠の除外診断にきわめて有用と思われた.
  • 石井 保吉, 藤井 雅彦, 佐久間 市朗, 桐谷 寿子, 深堀 世津子, 若林 富枝, 杉下 匡, 藤吉 啓造, 石田 禮載, 大村 峯夫
    1991 年 30 巻 4 号 p. 651-656
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    体内膜細胞診における腺腫性増殖症と高分化型体内膜腺癌の質的判定基準を設定するため, 全面掻爬による組織診で確認された腺腫性増殖症15症例26検体, 術後の組織診で確認された高分化型体内膜腺癌16症例26検体を用い, 細胞集塊の形態および構造について検討を行い, 以下の結果を得た.
    1) 樹枝状細胞集塊は腺腫性増殖症では3.8%にみられたのみであったのに対し, G1腺癌においては73.1%に認められた.乳頭状細胞集塊は腺腫性増殖症, G1腺癌ともに全例に認められた.
    2) 集塊内腺腔の密な検体は, 腺腫性増殖症で23.1%, G1腺癌で84.6%であった.
    3) 腺腔のback to backは腺腫性増殖症で23.1%, G1腺癌では88.5%に認められた.
    4) 腺腔内乳頭状増殖は, 腺腫性増殖症では34.6%, G1腺癌では84.6%に認められた.
    以上より腺腫性増殖症とG1腺癌の細胞学的判定には, 乳頭状細胞集塊および樹枝状細胞集塊の有無, およびそれらの構造異型を観察することが重要であると考えた.
  • 夏目 園子, 新福 正人, 佐竹 立成, 丸山 孝夫, 鷲見 成晴, 金子 正博
    1991 年 30 巻 4 号 p. 657-661
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞採取器具 (エンドサイト、オネストブラシ) を用いて体部内膜細胞診標本およびcellblock (以下CB) 標本を作製し, 両者の標本中に認められる検体量を比較するとともに, 両者における診断結果を比較検討した.
    採取器具を用いて通常の方法で塗抹し内膜細胞診標本を作製した後, 器具をそのまま10%ホルマリンの入ったスピッツ内に入れ, よく振って付着残存している内膜細胞を浮遊させる.固定後遠心し沈渣物をメッシュの袋に入れて, 型のごとくH-E染色標本を作製する, という簡便な方法でCBを作製した.
    エンドサイト法で作製されたCB標本には, オネストブラシによるCBに比し, 良好な量の検体が認められた.細胞診標本では疑陽性と診断されたが, CB標本ではcarcinomaと診断できた高分化型内膜腺癌の1例も経験された.
    今後, 細胞診標本とCB標本を同時に検鏡する回数を重ねることにより, 子宮内膜細胞診断の精度をより向上させることができると考えられた.
  • 伊藤 圭子, 及川 洋恵, 岩渕 一夫, 金野 多江子, 金田 尚武, 森 俊彦, 米本 行範, 東岩井 久, 野田 起一郎
    1991 年 30 巻 4 号 p. 662-669
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    宮城県対がん協会細胞診センターでは, 頸部腺癌のfalse negativeを防ぎ, さらにその前癌病変をcheck upするために, 癌の基準をみたさない腺上皮系の異型細胞に対して, 昭和56年からIII腺という分類基準を設けてスクリーニングを行っている. 今回, その成績を整理し, 次のような結果を得た.
    1.III腺と判定されたものは, 子宮癌検診総数の0.07%に当り, クラスIII全体の5.0%を占めた.
    2.III腺の17.7%に腺異形成, 頸部腺癌, 体部腺癌などの腺上皮系neoplasiaを検出した.
    3.III腺で生検陰性のもの563例をfollowupした結果, 9例に初期腺癌 (上皮内腺癌, 微小浸潤腺癌) が検出された. そのfollow up期間は9-57ヵ月であった.
  • 高村 邦子, 田中 博志, 田崎 民和, 森 一郎, 蓮尾 泰之, 薬師寺 道明
    1991 年 30 巻 4 号 p. 670-676
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Dysplasiaでfollow upしている症例および, 細胞診異常を指摘され, 当科を受診した145例について, HPV-DNA検出スクリーニングを行った. その結果, HPV-DNA陽性であった45例と陰性例のうちの任意に選択した46例について, 細胞学的検討を行い, 次の結果を得た.
    1.145例中, 45例 (31.0%) にHPV-DNAが検出された.
    2.細胞診のクラス分類が上昇するに従い, HPV-DNAの陽性率も増加していた.
    3.細胞診と組織診の不一致について, HPV-DNA陽性例では31.1%のover diagnosisを認め, その原因として, parakeratosis, dyskeratosisを示す細胞の出現多数のためが42.9%と最大の原因であった.
    4.HPV-DNA陽性例のみにkoilocytosisを認めたが, その出現率は15/45例 (33.3%) と低く, koilocytosisは特異性には優れているが, 感受性は低い.
    5.Parakeratosis, dyskeratosis (55.6%), multinucleus (64.4%), metaplasticcell (57.8%) は出現率が高く, またこれらの組合せの出現率は, さらに高く, 非特異的ではあるがHPV感染症の補助診断として有用である.
    以上のことからkoilocytosisおよび他の補助診断により細胞診でのHPV感染症診断率は向上すると思われる.しかしながら, 細胞診にてHPV感染を診断できるものは限られ, 分子生物学的手法を用いた検査をもって診断することが望ましいと思われた.
  • 藤井 雅彦, 石井 保吉, 佐久間 市朗, 松永 忠東, 野口 正之, 萩原 勁, 加藤 一夫
    1991 年 30 巻 4 号 p. 677-682
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳頭分泌物の細胞診で発見された乳癌23例の蓄乳細胞標本を用い, 乳癌の組織形態とくに問質浸潤および面疱型の有無と分泌物中の細胞像との関連性を検討した.
    非浸潤性乳管癌と乳頭腺管癌との比較では, 細胞標本中の集塊数, 細胞の重積性に明らかな差はみられなかった. また, 核や核小体所見に関しても両者の問にほとんど差がなく, 非浸潤癌に特徴的な細胞所見を見出すことはできなかった.
    面疱型と非面疱型の細胞像の比較では, 面疱型の方が散在性がより強く, 逆に非面疱型で重積性が目立つ傾向にあった. 核長径平均値も非面疱型8.4μ, 面疱型10.3μと後者で有意に高値を示した. また, 核形不整, 核小体も面疱型で目立つ傾向にあり, 細胞所見からの両者の識別は比較的容易であった. 面疱型乳癌は乳管外浸潤傾向ならびに乳管内進展傾向が強いことが知られており, 悪性度を推測する指標として細胞判定に附記する必要性が示唆された.
  • 塚本 剛, 堀中 悦夫, 鈴木 秀, 奥井 勝二
    1991 年 30 巻 4 号 p. 683-690
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃癌新鮮切除標本 (早期胃癌20例, 進行胃癌20例) を研究対象として顕微分光測光法により癌細胞核内DNA量を測定し, 壁深達度, リンパ管侵襲の有無, 組織型別にDNA量およびploidypatternを分析した結果, 次のような結果を得た.
    1) 平均核内DNA量の検討では, 早期癌と進行癌に有意差は認められなかったが, m癌はsm癌, pm癌に比べ有意に低かった.またly0, 1群とly2, 3群間, および組織型別では有意差がなかった.
    2) 4c以上の多倍体の出現率の検討では, m癌はsm癌より低く (p<0.01), 早期癌は進行癌より低かった (p<0.01).
    3) 高DNA量群は低DNA量群に比べ核径が大きかった (p<0.05).
    4) Ploidy patternではm癌は他の癌に比べdiploid typeが多かった.
  • 榊原 英一, 来海 節夫, 吉田 雄一, 立山 尚, 柴田 偉雄
    1991 年 30 巻 4 号 p. 691-696
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    胃生検捺印塗抹細胞診標本を用いてHelicobacter pylori (以下HPと略す) 陽性例176例の臨床診断および組織診断, 年齢分布, 細胞所見, 年齢別異常細胞出現率等を調べた. 一方, 126例の細菌培養実施例につきHPの年齢別検出率をみた. また, 細胞診と細菌培養の併用された91例についてその成績を比較検討し, さらに, 組織標本にてHPの局在についても観察して, 次のような結果を得た.
    1. HP陽性例の年齢分布および細菌培養の年齢別検出率は40歳代が最も高く, 若年層も高齢層もともに減少していた.
    2. 細胞診によるHP検出率は53.8%で, 細菌培養による51.6%とほぼ同等の検出率が得られ, 両者の一致率は80.2%であった.
    3. HP陽性例の臨床診断および組織診断は胃炎 (60.8, 73.3%) が多かった.
    4. HPの組織標本での局在は腺窩上皮細胞表面とその細胞間隙であった.
    5.塗抹標本でHPは細長い螺旋状小体として, ライトグリーン陽性所見を示した.
    6. HP陽性標本にみられる異常細胞は, 過形成上皮細胞と腸上皮化生細胞および再生上皮細胞であった.
    7. 年齢別異常細胞出現率で, 過形成上皮細胞は年齢に関係なく80%以上観察され, 腸上皮化生細胞は高齢化とともに上昇した.
    8. HP感染を支持する塗抹標本所見としては, 白血球の増加, 螺旋状菌の存在および過形成上皮細胞の出現があげられる.
  • 広井 禎之, 河合 俊明
    1991 年 30 巻 4 号 p. 697-702
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞形態のみでは鑑別困難な反応性中皮細胞 (7例), 悪性胸膜中皮腫細胞 (4例), 肺腺癌細胞 (12例) について, 免疫細胞化学, レクチン結合性を検索し, 細胞診断に有用であるか検討した.抗体は抗epithelial membrane antigen (EMA), 抗Keratin, 抗carcinoembryonic antigen (CEA) の3種類であり, レクチンは, peanut agglutinin (PNA), wheat germ agglutinin (WGA), succinylated WGA (SucWGA), Ricinus communis-1 (RCA-1), Helix pomatia (HPA) の5種類を使用した.細胞は95%エタノールで湿固定し, avidin-biotin-peroxidase complex法にて染色した.反応性中皮細胞はKeratin 6例 (86%), EMA3例 (43%), neuraminidase処理後のPNA5例 (72%), WGA 3例 (43%) に陽性を示したが, CEA, SucWGA, RCA-1, HPAは全例陰性であった.中皮腫細胞も同様の傾向を示し, CEA, SucWGA, RCA-1, HPAが全例陰性を呈した.肺腺癌細胞はいずれの抗体, レクチンともよく反応し, CEAは12例中11例 (92%) に染色され, SucWGAは9例 (75%), RCA-1は9例 (75%), HPAは10例 (83%) であった.以上の結果より, CEA, SucWGA, RCA-1, HPAによる細胞化学は, 中皮系細胞と肺腺癌細胞との鑑別に有用であると考えられる.
  • 小林 忠男, 植田 正己, 西野 俊博, 山木 垂水, 椹木 勇
    1991 年 30 巻 4 号 p. 703-709
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診において, 各種検体に含まれる変性のない細胞をより多くスライドグラス上に塗抹することは精度の向上に必要不可欠の要素である.本検討では市販の自動細胞収集装置A社製 (オートスメア・国産品) およびB社製 (サイトスピン・輸入品) について, ヒト白血球を用いスライドに塗抹された全有核細胞数をメイ・ギムザ染色により正確に算定し, またA社製の装置に対して細胞収集率を高める以下の3点の改良を行った.
    1) 濾紙/スライド面に接触するディスポチャンバー (DC) のシール面積を狭くした
    2) DCに補強 (リブ) をつけた
    3) DCの肉厚および濾紙の開口寸法を広げた
    この結果DCと濾紙/スライド面に対する面圧を高め, 従来型に比して面圧が約3.5倍となった.細胞収集率は低濃度細胞群 (350個/ml) の1,000回転5分で60%, 10分で63%および2000回転5分で62%, 10分で72%となり, いずれの群においてもB社製より14%から30%(平均20%) 高い収集率が得られ形態の保存性も良好であった
    これらの結果から, 改良を加えたA社製の自動細胞収集装置による検体処理は髄液の細胞診をはじめとする微量細胞検体の精度の向上に寄与するものと考え報告する
  • 岩 信造, 田原 義孝, 今北 正美, 佐伯 和則, 由谷 親夫, 増田 一吉, 小林 忠男
    1991 年 30 巻 4 号 p. 710-713
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    尿細胞診中にポリオーマウイルスの感染所見を認めた7例につき, パパニコロウ染色脱色標本からビオチン化ポリオーマウイルスプローブを用いin situ hybridizationを実施した. パパニコロウ染色でスリガラス状あるいは濃染核を認めた細胞の核および細胞質にポリオーマウイルスDNAを検出し得た. 長期保存の尿細胞診標本からポリオーマウイルスDNAの検出が可能であり, 細胞診断上有用であった.
  • 山岸 紀美江, 広橋 説雄, 當銘 良也, 日吾 雅宜, 渡部 庸一, 上井 良夫, 下里 幸雄
    1991 年 30 巻 4 号 p. 714-717
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    迅速細胞診に酵素抗体法免疫細胞化学を導入するため, microwave (2450 MHz) 照射による上記染色法の迅速化について検討した.
    塗抹標本は肺癌術中採取胸水, 胸腔洗浄液, 胃癌術中腹水, 腹腔洗浄液, その他から作製した.
    方法は, 95% ethanol固定, avidin-biotin peroxidase complex法 (ABC法), diamino-benzidine発色, hematoxylin核染色を施行した.一部はalcianblue重染色を行った.一次抗体はcarcinoembryonicantigen (CEA) に反応するmouse monoclonal抗体を用いた.
    microwaveはBIO-RAD H2500を用い, 出力を50%(300W) に減力し, 間欠照射法とし, 最高温度37℃ に調整して, 内因性peroxidase活性阻止, 一次抗体反応, 二次抗体反応, ABC反応, DAB発色過程に照射を行った.
    通常の免疫細胞化学法で用いられている試薬濃度で, microwave照射下に反応を行い, 20~30分間でABC法による免疫細胞化学標本が得られた.
    microwave照射は免疫細胞化学反応時間を著しく短縮する効果があり, 迅速細胞診に利用可能であると思われた.
  • 伊藤 園江, 大田 喜孝, 原武 晃子, 森塚 祐子, 大田 桂子, 楳田 明美, 伊藤 裕司, 中村 康寛, 谷村 晃
    1991 年 30 巻 4 号 p. 718-722
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    転移をきたす卵巣悪性カルチノイドはきわめてまれである.われわれは肝穿刺吸引細胞診で肝細胞癌とし, 剖検後の検索で卵巣原発カルチノイドの肝転移であった症例を経験した.細胞診では腫瘍細胞は比較的小型で敷石状ないし結合性の粗な平面的集団として出現しており, ライトグリーンに好染する細胞質およびクロマチン染色性の増加した円形核を有し, 肝細胞癌との鑑別困難な細胞像を呈した.組織学的にはtrabecular patternを主体とするカルチノイド腫瘍であり, グリメリウス染色で陽性, フォンタナマッソン染色で陰性, クロモグラニンによる免疫組織化学染色で細胞質内に陽性を示した.電顕は限界膜に囲まれた電子密度の高い200~400nmの神経内分泌顆粒が細胞質内に多数みられた.
  • 中野 勝彦, 飛岡 弘敏, 北村 玲子, 小関 孝之, 吉田 豊, 三好 正幸, 蠣崎 和彦
    1991 年 30 巻 4 号 p. 723-726
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腹水細胞診で興味深い所見が得られた卵管原発腺癌の1例を経験したので報告する
    症例は66歳, 女性.不正出血にて初発後, 1年2ヵ月で著明な腹水貯留を認めた.術前の腹水細胞診で, 砂粒体およびいわゆる偽線毛を伴う多数の腺癌細胞を認め, 卵巣原発漿液性嚢胞腺癌が疑われ, 化学療法施行後子宮全摘術および両側附属器切除術が施行された.開腹時, 腹腔内に広汎に結節状転移巣を認め, 術後の病理組織学的検索により, 卵巣および子宮には腫瘍を認めず, 左卵管内腔に卵管壁と連続して直径約1.5cmの結節状腫瘤を認め, 卵管原発腺癌と診断した.
    原発性卵管癌は細胞診においては特徴的所見に乏しく, 術前診断は困難であるとされている.砂粒体および偽線毛は卵巣原発漿液性嚢胞腺癌に特徴的な所見であるが, 原発性卵管癌にこれらが認められたとする報告はこれまでなく, 今回これが認められたことは, 同腫瘍の細胞診断および組織発生を考えるうえで興味深い.
  • 竹原 正輝, 伊東 英樹, 田中 恵, 三好 正幸, 熊井 健得, 下谷 保治, 藤沢 泰憲, 工藤 隆一
    1991 年 30 巻 4 号 p. 727-736
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    原発性卵管癌の症例は婦人科悪性腫瘍の中でもまれな疾患のひとつである.今回われわれは4症例を経験した.これらの臨床経過と細胞像と組織像, 特に細胞像の特徴の有無に関して検討した.また, このなかの3症例に関して剥離細胞における光顕 (LM) 一走査電顕 (SEM) 一透過電顕 (TEM) 同一試料観察を施行した.結果は以下のとおりである.
    1.4 症例の細胞診所見
    1) 腫瘍背景はなく, 細胞は重積性を示す乳頭状をとることが多かった. 2) 集団の形態として集塊が小さいことが特徴のひとつであった. 3) 核小体もしくはクロマチン凝集が著明であった. 4) 細胞質の辺縁が不明瞭であった.細胞形に関しては円形から楕円形であった. 5) 細胞質は比較的明るく, ときに空胞を認める細胞も存在した. 6) histiocyteの存在が4症例中3例に認められ, 由来は子宮内および腹腔内の炎症病変組織が考えられた.
    2.3 症例の剥離細胞におけるLM-SEM-TEM同一試料連続観察所見
    1) microvilli, mitochondriaの存在を認めた.mitochondriaは小型であり, 数は中等度~ 多数読められた. 2) 核小体は細胞診上の所見と同じで著明であり, 卵管癌細胞の特徴のひとつであることが示唆された. 3) 卵管癌の組織型とその発生細胞のoriginを一元的に決定するのは困難であると考えられた.
  • 大橋 浩文, 加藤 敬三, 畠山 重春, 後藤 恵子, 塩田 敬, 三浦 妙太
    1991 年 30 巻 4 号 p. 737-740
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸管ポリープは中年女性の子宮頸部にしぼしばみられる疾患で, その大部分が良性であり, 悪性像を呈することはきわめてまれである.われわれは子宮頸管ポリープに発生した上皮内癌の1例を経験したので報告する.
    症例は55歳, 主婦. 主訴は不正性器出血. 子宮頸部の擦過細胞診に異型細胞が出現し, 検査のため来院した. 子宮口より有茎ポリープの突出が認められ除去された. 組織学的に上皮内癌は子宮頸管ポリープに限局していることがわかり, その後に行われた切除子宮のどこにも癌は証明されなかった.
  • 相田 芳夫, 田所 衛, 高木 正之, 竹内 英子, 品川 俊人, 星川 咲子, 森脇 友子, 福田 護
    1991 年 30 巻 4 号 p. 741-746
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺悪性葉状嚢胞肉腫2例の捺印細胞像ならびに病理組織学的所見について報告する.症例は47歳ならびに39歳の女性で, 右乳房に巨大な腫瘤が潰瘍を形成し, 出血が著しいため当院を受診した.乳癌の診断で入院, 定型的乳房切断術を施行した.腫瘍の捺印標本では, 異型性に乏しくシート状配列を示す上皮様細胞と紡錘形細胞からなる良性像と, 類円形~紡錘形と多種多彩な異型細胞が出現する悪性像が認められた.病理組織学的には, いずれの症例も葉状嚢胞肉腫の良性像と悪性像が混在しており, 悪性像を呈する部分は複数の肉腫成分から構成されていた.
    葉状嚢胞肉腫においては明らかな良性像と悪性像が混在することがあり, 特に生検および細胞診断に際しては, その採取部位について細心の注意が必要であると思われる.
  • 西谷 全弘, 安藤 一郎
    1991 年 30 巻 4 号 p. 747-751
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ファイバースコープ下での細胞診および組織診が陰性の喉頭癌に対して頸部からの穿刺細胞診を施行し診断がついた症例を2例経験した.1例は喉頭室原発にて甲状軟骨方向に浸潤したもの, もう1例は, 放射線治療後に, 粘膜下にのみ腫瘍細胞が認められたものである.2例とも透視下のラリンゴグラムにて頸部から経皮的に病巣に穿刺し細胞診を施行した.その結果, 扁平上皮癌が確認され喉頭全摘術を施行.摘出標本について病理組織学的検討を加えた結果, 喉頭内腔面には腫瘍細胞は確認されず, 粘膜下に腫瘍組織が認められた.喉頭粘膜面からの細胞診, 組織診にて腫瘍細胞が証明できない症例でも臨床的に粘膜下の腫瘍の存在が強く疑われる場合は本方法が有用であると思われた.
  • 安斎 幹雄, 遠藤 久子, 相田 真介, 寺畑 信太郎, 玉井 誠一, 関口 進, 清水 健, 加瀬 勝一, 尾形 利郎
    1991 年 30 巻 4 号 p. 752-756
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    気管支に発生した孤立性乳頭腫 (solitary bronchial papilloma) の1例を経験したので, その細胞学的所見を中心に報告した.症例は75歳, 男性, 主訴は血疾で, 胸部X線上左肺下葉に異常影が認められた.左底幹より経気管支鏡的に得られた洗浄細胞診において, 異常角化細胞および深層型の異型扁平上皮細胞と腺上皮細胞の集塊を認め, 明らかな悪性細胞は認められなかったが, 特に扁平上皮癌の可能性を否定できなかった.確診に至らないまま左肺下葉切除術が施行され, 手術材料にてB9末梢の気管支内に約1.0×0.6×0.6cm大の乳頭状腫瘤を認めた.組織学的には杯細胞を主体とし, 線毛円柱上皮細胞を混じた気管支表面上皮の増生からなる腫瘍で, 一部扁平上皮よりなる部が混在していた.腫瘍辺縁部には広範な壊死を伴っていた.特に扁平上皮の部に, 不全角化および軽度から中等度の異型を伴っていたが, 明らかな悪性所見はみられず孤立性乳頭腫と診断した.これらの組織所見は, 術前の洗浄液における細胞像によく一致するものと考えられた.
  • 中澤 久美子, 弓納持 勉, 石井 喜雄, 早川 直美, 貴家 基, 久米 章司, 小山 敏雄, 池上 淳, 茂垣 雅俊, 須田 耕一
    1991 年 30 巻 4 号 p. 757-761
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    今回比較的まれな胸腺癌の1例を経験したので, その細胞像を中心に報告する.症例は50歳女性の肝臓への転移を伴った縦隔腫瘍で以下の検討より下里らの提唱する胸腺癌と診断された.すなわち, 縦隔の穿刺吸引細胞診では, 比較的小型の異型性のある上皮細胞が認められ, 顕著な核小体を有していた.背景には, 特にリンパ球は認められなかった.また, 肝腫瘍生検の捺印細胞診でも同様な細胞所見が得られ, 組織診では腫瘍細胞の核分裂像が多数認められた.腫瘍細胞は免疫組織化学的にケラチン (+), Leu-7 (-) で, 電顕的には上皮性特有のトノフィラメントとデスモゾームが認められた.以上より, 本例の診断に細胞診上の細胞形態, 異型性の観察はもちろんであるが, リンパ球の有無などの背景の観察や免疫組織化学的所見が胸腺癌を確定または推定するうえで重要と考えられた.
  • 伊藤 真子, 前田 勝彦, 笠井 久豊, 矢野 隆嗣, 上森 昭, 石原 明徳, 吉田 利通, Sergio Ossamu IOSHII
    1991 年 30 巻 4 号 p. 762-765
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    血中Neuron-specific enolase (以下NSE) が高値を示した胃未分化癌の1例を報告した.
    症例は, 74歳男性で体重減少と食欲不振で来院.胃透視および内視鏡検査で幽門前庭にBorrmannII型腫瘍を指摘された.生検では未分化癌が疑われ, 血清NSEは137ng/mlと高値であった.胃全摘術が行われた.術中腹水では, 細胞質が乏しい小型円形の腫瘍細胞が孤在あるいは結合性のある小集団として認められた.クロマチンは細顆粒状, 核小体は目立たなかった.PAS染色陰性, 免疫染色でNSE陽性, CEA, LCA, cytokeratin陰性であった.電顕では細胞内小器官に乏しく, 組織学的に胃未分化癌と診断した.
  • 佐々木 なおみ, 光畑 直喜
    1991 年 30 巻 4 号 p. 766-770
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    右尿管に発生した癌肉腫の尿細胞診所見および術中擦過細胞診所見について報告する.症例は78歳男性.癌肉腫は移行上皮癌とmalignant fibrous histiocytoma (MFH) の混在よりなっていた.尿細胞診には典型的な移行上皮癌とともに, 大型のbizzareないし類円形の核, ライトグリーンに好染する豊富な細胞質をもつ腫瘍細胞がみられたがTransitional cell carcinoma, non-papillary type, grade 3とし肉腫成分を見落としていた.術中擦過細胞診では, 主として肉腫成分の腫瘍細胞が多数みられた.腫瘍細胞は類円形, 紡錘形であり, 核は大小不同, 類円形ないし不整形で, 粗顆粒状のクロマチン, 好酸性の明瞭な核小体がみられた.核内空胞が少数の腫瘍細胞にみられた.細胞質はライトグリーン好性で比較的豊富であった.パラフィン切片での免疫染色で, 腫瘍細胞はvimentin, α1-antichymotrypsinが陽性であった.尿細胞診で, 移行上皮癌とともに著しく大型で結合性に乏しい異型細胞が出現した場合, 鑑別疾患として癌肉腫の可能性を考慮すべきである.
  • 金野 多津子, 手塚 文明, 一迫 玲, 桜井 忠実, 菅原 勲, 伊藤 圭子, 武田 鉄太郎, 東岩 井久
    1991 年 30 巻 4 号 p. 771-774
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    免疫芽球性リンパ節症様T細胞性リンパ腫 (IBL-like T cell lymphoma) の1例を経験し, リンパ節生検細胞標本から得られた所見をもとに, 本疾患における細胞診断の要点を検討したので報告する.患者は56歳男性で, 全身リンパ節腫脹・肝脾腫および発熱がみられ, 精査のため頸部リンパ節生検 (組織診および捺印細胞診) を受け, IBL-like T cell lymphomaと診断された.組織標本ではリンパ節基本構造の破壊・小血管の樹枝状増生・異常リンパ球の血管周囲における塊状ないし瀰漫性増殖が認められた.細胞標本には, 好中球・リンパ球・形質細胞・組織球などの炎症性細胞とともに, 多数の異常リンパ球が出現していた.これら異常リンパ球は芽球様細胞と淡明細胞から成り, 免疫組織学的にT細胞性マーカーを有していた.本疾患を細胞診で診断するためには,(1) 炎症性細胞を含む多彩な細胞像の中に異常リンパ球がみられること,(2) 異常リンパ球は芽球様細胞と淡明細胞から成っていることの把握が必要である.
  • 計良 恵治, 岩崎 秀昭, 深沢 一雄, 武田 敏, 稲葉 憲之, 高見澤 裕吉, 小川 太一郎, 田口 明美, 石川 明, 清水 文七
    1991 年 30 巻 4 号 p. 775-776
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 生水 真紀夫, 赤祖父 一知, 寺田 督, 飯田 和質, 川上 一男, 畑 和則
    1991 年 30 巻 4 号 p. 777-778
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 高倉 佳子, 福野 直孝, 勝田 省吾
    1991 年 30 巻 4 号 p. 779-780
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
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  • 市瀬 裕一, 佐藤 敏美, 松井 英美
    1991 年 30 巻 4 号 p. 781-782
    発行日: 1991年
    公開日: 2011/11/08
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