抄録
乳腺悪性葉状嚢胞肉腫2例の捺印細胞像ならびに病理組織学的所見について報告する.症例は47歳ならびに39歳の女性で, 右乳房に巨大な腫瘤が潰瘍を形成し, 出血が著しいため当院を受診した.乳癌の診断で入院, 定型的乳房切断術を施行した.腫瘍の捺印標本では, 異型性に乏しくシート状配列を示す上皮様細胞と紡錘形細胞からなる良性像と, 類円形~紡錘形と多種多彩な異型細胞が出現する悪性像が認められた.病理組織学的には, いずれの症例も葉状嚢胞肉腫の良性像と悪性像が混在しており, 悪性像を呈する部分は複数の肉腫成分から構成されていた.
葉状嚢胞肉腫においては明らかな良性像と悪性像が混在することがあり, 特に生検および細胞診断に際しては, その採取部位について細心の注意が必要であると思われる.