日本臨床細胞学会雑誌
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頸部からの穿刺細胞診にて診断が得られた喉頭癌の2症例
西谷 全弘安藤 一郎
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1991 年 30 巻 4 号 p. 747-751

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抄録

ファイバースコープ下での細胞診および組織診が陰性の喉頭癌に対して頸部からの穿刺細胞診を施行し診断がついた症例を2例経験した.1例は喉頭室原発にて甲状軟骨方向に浸潤したもの, もう1例は, 放射線治療後に, 粘膜下にのみ腫瘍細胞が認められたものである.2例とも透視下のラリンゴグラムにて頸部から経皮的に病巣に穿刺し細胞診を施行した.その結果, 扁平上皮癌が確認され喉頭全摘術を施行.摘出標本について病理組織学的検討を加えた結果, 喉頭内腔面には腫瘍細胞は確認されず, 粘膜下に腫瘍組織が認められた.喉頭粘膜面からの細胞診, 組織診にて腫瘍細胞が証明できない症例でも臨床的に粘膜下の腫瘍の存在が強く疑われる場合は本方法が有用であると思われた.

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