日本臨床細胞学会雑誌
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モルフォメトリーとクラスター分析による子宮内膜細胞診断の試み
手塚 文明千場 良司寿円 裕康及川 和子岩淵 一夫東岩井 久
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1992 年 31 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

子宮内膜細胞診にモルフォメトリーと多変量クラスター分析を応用し, 内膜細胞の分類可能性を検索した.29例の正常・増殖症・腺癌を含む内膜細胞塗抹標本上から69個の上皮性細胞集塊を無作為に選び, その構成細胞について次の5変量を計測した:(1) 核の大きさ (平均面積),(2) 核の大小不同性 (面積の偏差),(3) 核形 (平均形状係数),(4) 核の多形性 (形状係数の偏差),(5) 核配列の規則性 (DPimdex).次に5次元クラスター分析 (Ward法) を用いて69個の群分けを行った.他。方各集塊について15人の細胞検査士・指導医による検鏡判定 (陰性・疑陽性・陽性への振り分け) も併せ行った.クラスター分析の結果69個の細胞集塊は第1 (34個)・第2 (9個)・第3 (26個) の3群に分類された.検査士らの判定と比べると, 第1群に陰性32個と疑陽性2個が, 第2群に陰性7個と疑陽性2個が, 第3群に陽性16個と疑陽性5個と陰性5個が含まれた.概して第1・2群は「非陽性」, 第3群は「陽性」に相当した.「疑陽性」は独立した1群を構成せず, その定義を含めた再検討の必要性が示唆された.

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