日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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ISSN-L : 0387-1193
Peripheral adenoid cystic carcinoma of the lung
a case report
Akitaka NonomuraYuji MizukamiShinobu NakamuraYoh WatanabeTsutomu TakashimaKazuo TanimoteMasanobu Kitagawa
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1992 年 31 巻 6 号 p. 998-1003

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抄録

肺の腺様嚢胞癌は主に太いレベルの気管支に発生し, 末梢肺組織に発生することはきわめてまれである. 最近, われわれは末梢肺組織に発生した腺様嚢胞癌の1例を経験したので, その臨床病理所見について報告する. 症例は67歳, 男性で約1ヵ月半の咳漱を主訴に近くの病院を訪れた. X線検査の結果, 左肺野に異常陰影を指摘され, 精査, 治療のため当病院に紹介された. 腫瘤は左肺舌区に存在し, 肺癌を疑い, 切除を行った. 切除された肺腫瘤は約2.3×3.0×2.6cm大, 割面は淡黄白色で, 境界は明瞭であった. 肉眼的に腫瘤と大きな気管支との間に明確な関連はみられなかった. 組織学的に, 腫瘤は腺様嚢胞癌であった. 他の部位に原発巣は発見されなかった. 組織像にても腫瘤と太い気管支との問に関係を認めなかったが, 腫瘤の辺縁部に軟骨を欠く細気管支が存在していることから, おそらく5ないし6次分枝の細気管支より発生したものと推定された.

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© The Japanese Society of Clinical Cytology
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