日本臨床細胞学会雑誌
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胸壁原発類上皮肉腫の1例
藤井 丈士野首 光弘川井 俊郎久保野 幸子武 彰村山 史雄蘇原 泰則斎藤 建
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1993 年 32 巻 6 号 p. 1017-1020

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抄録

背部胸壁に原発した類上皮肉腫の1例を報告した.患者は64歳男で胸壁腫瘤を主訴に来院.胸部CTで左脊柱起立筋内に石灰化を伴う腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診では大型類円形ないし多稜形異型細胞よりなる結合性の疎な細胞集塊や少数の紡錘形細胞がみられた.摘出された腫瘍は白色充実性分葉状で, 一部で出血や中心壊死を伴い, 辺縁では骨化がみられた.組織学的には多稜形細胞が上皮様胞巣を形成する部分と紡錘形腫瘍細胞からなり, 両者はなだらかに移行していた.一部でrhabdoid featureを呈していた.免疫組織化学的にはCAM 5.2陽性, EMA陽性, CEA陽性, vimentin陽性, HHF35陽性, α-smooth muscle actin陽性, NSE陽性, desmin陰性, S-100陰性, factor VIII陰性であった.電顕的には細胞質に豊富な中間径細線維がみられた.

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