抄録
われわれは1984年から1992年に香川医科大学産婦人科において経験した原発性外陰癌22例についてその擦過細胞診所見を検討し, 有用性について考察した.
組織i型は, 扁平上皮癌14例, 腺癌3例, 乳房外Paget病5例であった.
病変擦過細胞診を採取したものは20例であり, 外陰癌全体での細胞診陽性率は75.0%(15/20), 疑陽性を加えると90.0%(18/20) であった.
組織型別にみた細胞診陽性率は, 腺癌では33.3%(1/3) と低いものの, 扁平上皮癌では84.6%(11/13), 乳房外Paget病でも75.0%(3/4) と高い陽性率を示した.
擦過方法別では, ヘラで83.3%(10/12), 綿棒で62.5%(5/8) と, ヘラの方が綿棒に比べ採取細胞数が多く, 陽性率がやや高い傾向にあった.
外陰癌における擦過細胞診は従来いわれているより陽性率が高く, 補助的診断法として有用であると考えられた.