1994 年 33 巻 1 号 p. 19-26
線維化巣 (疲痕) も浸潤性増殖をもほとんど示さない細気管支肺胞型腺癌の24例を検討した.症例は腫瘍細胞の大部分がII型肺胞上皮に類似している群 (1群), クララ細胞に類似している群 (II群), 杯細胞に類似している群 (III群), およびその他 (IV群) に大別された.1, IV群では全例で腫瘍周辺部にatypic alalveolar cuboidal cell hyperplasia (AACCH) に類似した領域を認め, 中心部では腫瘍細胞の異型性は強くheapingupの像があった.II群では中心部でも周辺部でも増殖が強くheapingupの像があり, 半数の症例で腫瘍周辺部にAACCHに類似した領域を認めた.52μ2以上 (同じ面積の円に置き換えてみて直径8μ以上) の核を持った肺胞上皮にi類似した細胞を見出したら1, IV群の, 核に切れ込みのあるクララ細胞に類似した細胞から成る重積性のある細胞塊を見出したらII群の, 切れ込みを持った核が基底側に遍在した円柱上皮から成る細胞塊やhoney-comp状の細胞集団を見出したらIII群の腺癌を疑う必要がある.細胞のタイプと病理組織像は密接に関係しており, 病理組織像は良く画像所見に反映されていた.正確な診断を行うためには画像所見を参考にすることが重要と考えられた.