日本臨床細胞学会雑誌
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尿中に認められた前立腺癌の細胞像
夏目 園子新福 正人佐竹 立成西川 英二西尾 芳孝
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1994 年 33 巻 3 号 p. 458-462

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抄録

尿中に出現する前立腺癌細胞の形態学的特徴を把握するために, 尿中の前立腺癌細胞とそれ以外の腺癌細胞の形態を比較検討した.
前立腺癌症例 (A群) は20例で, 臨床病期分類では不明の1例を除き, 1例がB2で, 18例がC以上であった.組織分化度は不明の1例を除き, 全例が中ないし低分化型であった.前立腺癌以外の腺癌症例 (B群) は19例で, 大腸癌6例, 膀胱原発腺癌4例 (尿膜管癌3例, 他1例), 腎癌3例, 胃癌2例, 子宮体部癌2例, 卵管癌, 卵巣癌各1例が含まれていた.A群およびB群の総計39例の腺癌細胞の形態は4型に分けられた.円形で核が偏在し, 核の長径が9μ 以下, 小型でN/C比の高い (核長径/細胞質長径, 75%以上) 細胞 (Ia型).円形でIa型より大きい細胞 (Ib型).高円柱状の細胞 (II型).印環型細胞 (III型) である.前立腺癌症例20例のうち10例にIa型の細胞が認められたが, B群では卵巣癌の1例にしか認められなかった.また核の長径が7μ 以下の腺癌細胞は前立腺癌の5例に認められたが, B群では1例もみられなかった.したがって尿中にIa型, あるいは核の長径が7μ 以下の腺癌細胞をみた場合は, 前立腺癌の可能性が高いと考えられた.

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