日本臨床細胞学会雑誌
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33 巻 , 3 号
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  • 川井 俊郎
    1994 年 33 巻 3 号 p. 397-406
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    65例の縦隔腫瘍の穿刺細胞診について, その成績と細胞像を総括的に述べ, 特に縦隔腫瘍を特徴づける胸腺上皮由来の腫瘍については症例を多く呈示し, 上皮細胞の異型度と悪性度の関係について言及した.
    1.胸腺腫は上皮細胞とリンパ球の二相性が特徴的である.上皮細胞の異型度と生物学的悪性度はある程度相関を示した.
    2.胸腺癌の異型度にも幅があり, 異型を有する胸腺腫との鑑別が困難な症例が含まれた.
    3.先天性嚢胞も縦隔腫瘍に含まれる.気管支性嚢胞の繊毛円柱上皮, 心嚢嚢胞の中皮細胞は診断的だが, 胸腺嚢胞・嚢胞化胸腺腫・リンパ管腫に鑑別困難な症例が含まれた.
    4.神経性腫瘍では検体が採取されず診断できなかった.
    5.胚細胞性腫瘍, 悪性リンパ腫の診断にも穿刺細胞診は有用であった.
  • 広川 満良
    1994 年 33 巻 3 号 p. 407-413
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    細胞診の精度管理体制についてまとめた. 精度管理は業務の正確さ, 円滑さを図るための手段であり, 診断学においてはわれわれが行っている診断が正しいか否かをいろいろな方法を利用して確認し, 常に診断の精度を向上させていくことと考えられる. そのためには (1) 依頼医師と密に連絡をとり, 診断の妥当性を確認すること,(2) cytological-histological correlationをつけること,(3) 経験豊かな専門家の意見を聞くこと,(4) 自分の診断レベルを知ること,(5) 数多くの書物や症例に接し経験を増やすことなどを積極的に実行し, 自らの診断が独断的にならないように注意すべきである.精度管理体制づくりはどの施設においても必要であるが, 画一的なものはなく, 各施設に適した独自の体制を築き上げるしかないと思われる.
  • 広川 満良, 伊禮 功, 三上 芳喜, 物部 泰昌, 森谷 卓也, 清水 道生, 中島 正光, 杉原 佳子
    1994 年 33 巻 3 号 p. 414-419
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    甲状腺疾患において, 乳頭状構造に由来する塗抹細胞像を明らかにする目的で, 腫瘤の2/3以上に乳頭状構造を認める甲状腺乳頭癌53例と腺腫様甲状腺腫17例をretrospectiveに検討した.乳頭癌では組織断片が高頻度 (75.5%) に出現し, その集塊は大きく, 複雑な枝分れがみられた.腺腫様甲状腺腫では組織断片はみられにくく (23.4%) 災その集塊はコロイド内に出現し, 詳細な細胞像の観察は困難であった.細胞集団辺縁での核の直線的柵状配列, 折れ曲がり像, 直角状辺縁形成などを伴う単層シート状配列や筒状配列は乳頭状構造に由来する細胞所見と考えられた.腺腫様甲状腺腫にみられる細胞集団は乳頭癌に比べて大きく, 濾胞構造の併存がみられやすかった.このような所見に着目すれば, 弱拡大での観察においても, 乳頭状構造を認識し, かつ, 甲状腺乳頭癌と腺腫様甲状腺腫の鑑別も可能であると思われる.
  • 杉原 佳子, 丹原 美佳, 広川 満良
    1994 年 33 巻 3 号 p. 420-423
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは亜急性甲状腺炎7例と甲状腺乳頭癌82例に出現した多核巨細胞について細胞形態学的に比較検討を行った.亜急性甲状腺炎にみられる多核巨細胞は大型で, 核数の多いものが多く, 胞体はライトグリーン淡染性で好中球や核破砕物を含んでいた.乳頭癌にみられる多核巨細胞は不規則な形態をし, ライトグリーンに濃染する境界明瞭な胞体を有し, 濃縮したコロイドを含有するものも観察された.これらの特徴は細胞診断学的に両疾患を鑑別する重要な鍵になると考えられる.
  • 土屋 眞一, 丸山 雄造, 高橋 洋子, 渡辺 達男, 小池 綏男, 寺井 直樹, 若林 透
    1994 年 33 巻 3 号 p. 424-429
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳腺細胞診に占める判定不能例の現状把握とその改善を目的として, 19病院 (26人) の外科医を対象に穿刺方法, 標本作製などを中心にアンケートを試みた.全症例 (2,033例) に占める判定不能例は22.4%で, そのほとんどが細胞量の不足によるものであった.外科医別では吸引ピストル使用が約半数で, 残りはガラスやディスポ注射器を用いていた.針は21~22ゲージが約80%を占め, 穿刺方法はピストン法が半数, 一回受診時での平均穿刺回数は2.3回であった.塗抹は半数が技師によって施行され, 塗抹後の注射筒洗浄の実施は約40%であった.判定不能率20%以下を良好群, 60%以上を不良群として検討した結果, 穿刺回数では良好群が3.5回に対し, 不良群が2.1回であった.穿刺方法は腫瘤内で針先を微細に動かすピストン法, 塗抹は技師, 注射筒洗浄を励行している外科医に良好群が多かった.病院別での解析では, 同一施設内でも穿刺者によってその判定不能率に著しい差が認められることがあった.良好群の方法を参考にして不良群を中心に穿刺方法などを指導した結果, 著明な改善が認められた.病理・細胞診からの積極的なアドバイスと, 臨床医との密接な連携の必要性が示唆された.
  • 馬嶋 恵子, 設楽 保江, 古川 悦子, 長谷川 康子, 川口 研二, 小池 盛雄
    1994 年 33 巻 3 号 p. 430-436
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺疾患の合併が疑われ気管支肺胞洗浄 (BAL) の施行された血液疾患57例を対象に, 細胞像, 病原体の検出などに関して同時に行われた経気管支肺生検 (TBLB) 20例の結果と比較検討した.
    (1) BAL細胞診57例中27例 (47.4%) に病原体の検出および原疾悪の浸潤が診断された.P.carinii (PC) 12例, CMV 10例, クリプトコッカス1例, アスペルギルス1例, Herpes simplexvirus 1例, 悪性リンパ腫の浸潤2例であった.病原体の病変の重複症例はなかった.
    (2) TBLBが施行された症例20例中7例で診断が確定された.このうちBAL陽性例6例で同一診断が確認されたが, BAL細胞診でPC陽性であった2例とCMV陽性の1例はTBLBでは感染は証明されず診断にいたらなかった.
    (3) TBLBでBusulfanによるDrug induced pneumoniaと診断された症例ではBAL細胞診において肺胞上皮由来の異型細胞が多数認められた.
    以上の成績から, 血液疾患に合併した肺病変, 特に日和見感染症の診断にBAL細胞診が有用であることが証明された.
  • 中原 保治, 中原 由紀子, 西園寺 正士, 木下 晴希, 三村 拓郎, 桂 栄孝
    1994 年 33 巻 3 号 p. 437-442
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    喀疾細胞診における脂肪染色の意義について検討した.対象は本院で昭和59年より20ヵ月間に扱った喀疾細胞診3289検体 (1503症例) である.パパニコロー染色と同時に行ったオイル・レッド0染色で, 赤色鮮明に染まる均一な顆粒を持つ組織球性細胞の出現状態を4段階に分類, 特にこれら脂肪陽性細胞が多数みられるとき, または集合している場合を脂肪強陽性とした.その結果, 細胞診陽性検体あるいは肺癌患者の検体で高率に脂肪強陽性を認めた.すなわち細胞診陽性検体の71.1%に強陽性の脂肪を認めるが, 細胞診陰性検体のうちでは脂肪強陽性は10.7%にすぎない.また, 肺癌患者の74.0%はその喀疾に強度の脂肪出現をみたが, 非癌症例の脂肪強陽性は10ないし20%にとどまった.注目すべきは細胞診陰性でも脂肪が強度に出現している検体ではその40%強が肺癌患者の検体であった.肺癌患者での脂肪出現状態はその組織型, 分化度, 腫瘍の大きさ, 占拠部位などに関係がみられず, 手術標本の検討から脂肪は腫瘍部に由来すると考えられた.脂肪染色は喀疾細胞診のスクリーニングにおける補助手段として, あるいは肺癌患者発見の意味で有用と考えられた.
  • 小松 彦太郎, 田島 紹吉, 蛇沢 晶
    1994 年 33 巻 3 号 p. 443-447
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺腺癌切除例の捺印細胞標本を用い腫瘍細胞の計測およびDNA量の測定を行い予後に影響をおよぼす細胞学的因子を検討した.予後は, 核面積が大きく, 核の円形度が低下し, 平均DNA量が多い症例において悪い傾向がみられた.再発および予後に影響している因子についてCoxの比例ハザードモデルを用いた分析では, 核円形度が最も大きな因子になっていた.再発に関する因子では, 絶対的治癒切除例で核円形度, 高分化腺癌例でDNA量に有意差がみられた.予後に関しては, 高分化腺癌例, 絶対的治癒切除例ともDNA量に, 高分化腺癌例ではさらに核面積にも有意差がみられた.
    以上より肺腺癌切除例の予後および再発に, 核円形度, 平均核DNA量, 平均核面積は有用な指標になるものと考えられる.
  • 佐藤 雅美, 斎藤 泰紀, 佐川 元保, 高橋 里美, 菅間 敬治, 中嶋 隆太郎, 佐藤 博, 佐藤 博俊, 大久田 和弘, 藤村 重文
    1994 年 33 巻 3 号 p. 448-451
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺癌高危険群における喀疾細胞診による肺癌検出の感度と特異度を算出した.さらに肺扁平上皮癌, 肺門部扁平上皮癌に限定し喀疾細胞診の感度と特異度も算出した.1986年, 1987年の2年間に12町村で喀疾細胞診を受診した喫煙指数600以上, 40歳以上の男女のべ4718名を対象とし, 肺癌罹患の有無を1988年末時点のがん登録と照合調査した.
    診断の12ヵ月前に肺癌の存在が指摘可能と仮定すると, 喀疾細胞診の感度は53.8%, 特異度は99.8%であった.さらに, 集検発見例においては前年の集検においても発見可能と仮定すると, 感度は38.9%, 特異度は99.8%であった.肺扁平上皮癌の感度はそれぞれ, 77.8%, 70%, 肺門部扁平上皮癌の感度は87.5%, 71.4%であった.
  • 広川 満良, 伊禮 功, 三上 芳喜, 物部 泰昌, 森谷 卓也, 清水 道生, 真鍋 俊明
    1994 年 33 巻 3 号 p. 452-457
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    5例の腎血管筋脂肪腫の塗抹細胞像について述べた.全症例において, 血管成分, 平滑筋細胞, 脂肪織などが混在する組織塊が多数みられた.平滑筋細胞は結合性が乏しく, 孤立散在性に出現するものもみられた.症例2および症例4では胞体内に好酸性の細線維状あるいは棍棒状構造物がみられ, 電顕的に筋線維の集合体であることが確認された.脂肪細胞の胞体内空胞には大小不同がみられ, 核には核内細胞質封入体像が観察された.血管内皮細胞はコーヒー豆様の核溝を有していた.腎細胞癌に似た裸核状の核や肉腫を思わせる大型異型細胞もみられた.これらの異型細胞には核クロマチンの不均等分布やパラクロマチンの明瞭域がみられず, これらの所見が悪性との鑑別に有用と思われた.
  • 夏目 園子, 新福 正人, 佐竹 立成, 西川 英二, 西尾 芳孝
    1994 年 33 巻 3 号 p. 458-462
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    尿中に出現する前立腺癌細胞の形態学的特徴を把握するために, 尿中の前立腺癌細胞とそれ以外の腺癌細胞の形態を比較検討した.
    前立腺癌症例 (A群) は20例で, 臨床病期分類では不明の1例を除き, 1例がB2で, 18例がC以上であった.組織分化度は不明の1例を除き, 全例が中ないし低分化型であった.前立腺癌以外の腺癌症例 (B群) は19例で, 大腸癌6例, 膀胱原発腺癌4例 (尿膜管癌3例, 他1例), 腎癌3例, 胃癌2例, 子宮体部癌2例, 卵管癌, 卵巣癌各1例が含まれていた.A群およびB群の総計39例の腺癌細胞の形態は4型に分けられた.円形で核が偏在し, 核の長径が9μ 以下, 小型でN/C比の高い (核長径/細胞質長径, 75%以上) 細胞 (Ia型).円形でIa型より大きい細胞 (Ib型).高円柱状の細胞 (II型).印環型細胞 (III型) である.前立腺癌症例20例のうち10例にIa型の細胞が認められたが, B群では卵巣癌の1例にしか認められなかった.また核の長径が7μ 以下の腺癌細胞は前立腺癌の5例に認められたが, B群では1例もみられなかった.したがって尿中にIa型, あるいは核の長径が7μ 以下の腺癌細胞をみた場合は, 前立腺癌の可能性が高いと考えられた.
  • 手塚 文明, 秀城 浩司, 及川 洋恵, 鈴鹿 邁, 伊藤 圭子, 東岩井 久
    1994 年 33 巻 3 号 p. 463-467
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    従来から子宮頸部細胞診に用いられる木製スパーテル擦過採取・用手塗抹標本に含まれている上皮細胞の数量と分布を推定した.7人の受検者から試料を採取し, スライドガラスに塗抹された細胞 (B) およびスパーテルに残存した細胞 (B) をそれぞれ保存液中で剥離, 均一に分散する細胞浮遊液とし, この液から作られたThinPrep標本を用いて上皮細胞の数と面積分布を計測した.(A) と (B) の和は採取細胞の総数,(B) は塗抹されず廃棄される細胞数に相当する.
    結果は症例間でかなり大きく異なったが, 平均して採取細胞数が780,215個, そのうちスライドガラスに塗抹された細胞が85,543個, 廃棄される細胞が694,672個であった.すなわち採取細胞の約10%が塗抹され検鏡の対象となるに過ぎず, 約90%が廃棄されてしまっていた.また採取試料と塗抹標本にそれぞれ含まれる細胞の面積の平均ないし分散は7例中4例で有意差を示した.したがって従来の用手塗抹標本は, 採取細胞のごく一部を含んでいるに過ぎないだけでなく, 細胞構成からみて必ずしも適正な抽出標本とはいえない.
  • 手塚 文明, 及川 洋恵, 秀城 浩司, 岩淵 一夫, 遠藤 のり子, 及川 和子, 伊藤 圭子, 東岩井 久, 石塚 悟, 二上 伸彦
    1994 年 33 巻 3 号 p. 468-473
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    近年開発された自動塗抹装置ThinPrep Processor (Cytyc, USA) による子宮頸部の細胞標本 (ThinPrep標本) にっいて, 再現性・易観察性・判定精度を検討した.ThinPrep標本は, スパーテルで擦過採取された細胞を均一に分散する浮遊液とし, その一部を抽出して作製される.同一浮遊液から作られた連続10枚の各標本で, 上皮細胞の数・配列・面積分布, 異型細胞の数・出現頻度および判定結果はほぼ同一となり, この標本作製法が良い再現性を与えるrandom samplingに基づいていることが示された.
    またこの標本を用いるとscreeningの省力化が可能であり, 従来の用手塗抹標本に比べ, 25%の塗抹面積, 12%の上皮細胞数, 62%の所要時間の観察で, ほぼ同様の判定結果が得られた.ThinPrep法は, 普及のためには細胞判定基準の確立・完全自動化の工夫・費用の改善など克服すべき問題も少なくないが, 優れた合理性と有用性を備えていると考えられた.
  • 石井 賢治, 工藤 一弥, 菊池 義公, 永田 一郎, 安斎 幹雄, 杉田 道夫
    1994 年 33 巻 3 号 p. 474-478
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    過去3年間において当科を受診した妊婦2972例に対して綿棒または湿綿球にて子宮頸部擦過細胞診を実施した.結果はclass III aが16例 (0.54%), class III bが4例 (0.13%), class IVが2例 (0.07%) であった.当科ではこのような細胞診異常を呈した妊婦については極力円錐切除を回避するよう心がけており, 細胞診やコルポスコープで進行癌を示唆する所見がない場合は, 円錐切除を敢えて行っていない.初回細胞診にてclass IVを呈した2例は狙い組織診にて1例はcarcinoma in situ (CIS), 1例はsevere dysplasiaであった.2例とも円錐切除は実施せず, 保存的に経過観察を行ったところ, いずれも細胞診上はclass IVを持続した.この2例は産後の子宮全摘, 円錐切除により, 組織学的にCISであった.また, 今回の検討期間中には進行癌を示唆する症例は認められなかった.当科の管理方針は妊娠中の円錐切除に起因するさまざまな合併症を回避できる点において有用であるが, 浸潤癌におけるunder diagnosisの危険性については今後症例を重ね検討する必要があると思われた.
  • 岡田 基, 松井 明男, 米沢 千佳子, 伊藤 雅文, 柴田 偉雄
    1994 年 33 巻 3 号 p. 479-484
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    婦人科標本中に認められたいわゆるヘマトイジン結晶様物質 (以下ヘマトイジン様結晶と略す) について, 4年6ヵ月の問に当院を受診した41,274人, 標本件数116,360件を対象に検討した.35人 (45件) にヘマトイジン様結晶を認めた.35例の年齢分布は24歳から52歳 (平均38.7歳) であった.疾患内訳は, 腟部ビラン17名, 妊娠7名, 切迫流産4名, 異形成2名, 上皮内癌1名であった.ヘマトイジン様結晶の出現頻度は, 子宮腟部擦過で0.05%, 子宮頸管擦過で0.04%であった.結晶の出現様相は, パパニコロー染色で黄金色ないし黄褐色調に染色され, ロゼット状配列, 樹枝状配列を呈する集塊が主体で, 一部は散在性に楕円形結晶として出現した.大きさは1~341.5μ であった.大多数の結晶は, 組織球や好中球からなる炎症細胞集塊中に認められた.特殊染色ではPAS染色が陽性を呈したが, ほかの粘液染色, 鉄染色, ビリルビン染色は陰性であり, 免疫染色ではフェリチン, S-100蛋白, EMA陰性であった.以上の所見から婦人科標本中に認められたヘマトイジン様結晶は, ヘマトイジンとは異なる物質で, ヘモグロビン系の色素ではないと考えられた.
  • 田中 耕平, 細部 貞廣, 奈良 幸一
    1994 年 33 巻 3 号 p. 485-488
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜細胞診要精検例および不正子宮出血例に子宮鏡検査および組織検査を行い, 25例の子宮内膜ポリープ (増殖性16例, 萎縮性3例, 機能性6例) を診断した.これらの細胞所見の特徴について検討した.さらに, 子宮内膜増殖症21例, 正常内膜22例の細胞像と比較検討した.
    1) 子宮内膜細胞診上, 子宮内膜ポリープの76%は要精検群に入っていた.
    2) 増殖性ポリープ, 内膜増殖症および正常内膜の細胞所見に著明な差は認められなかった.
    3) 増殖性ポリープは核の大小不同, クロマチン増量および核小体腫大の細胞所見が他のポリープと較べ頻度が高く, 機能性ポリープと比較して, 核の大小不同は有意に多い所見であった.
    4) 子宮内膜ポリープの診断には子宮内膜細胞診に加えて子宮鏡検査の併用が有用である.
  • 篠原 道興
    1994 年 33 巻 3 号 p. 489-494
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    近年子宮体癌は漸増し, 子宮癌の約2割を占めるようになった.1987年老人保健法に子宮内膜細胞診による子宮体癌検診が導入されたが, 子宮頸部の細胞診断に比し, 内膜細胞診断の困難性が指摘されており, physician delayなどによる癌の診断の遅れも危虞されている.本稿においては一大学病院における子宮体癌検診および子宮体癌の細胞診断の現状を調査し, 精度管理上の問題点について検討した.
    1984年1月から1990年12月までの7年間に施行されたEndocyteによる内膜細胞診とbiopsy curetteによる組織診を併用した子宮体癌検診626例を対象とした.この626例の体癌検診から内膜増殖症3例, 子宮体癌11例が検出された.細胞診のsampling errorは2.9%と少なく, 組織診のそれは30%と高率であった.組織診のsampling errorのうち約70%は組織採取不能例で, この群からはその後2年間, 子宮体癌は発見されなかったことから, 組織採取不能な場合は陰性診断の補助的役割を果たすことが示唆された.
    また同時期に診断・治療した子宮体癌は62例で, 医師側の診断の遅れ (physician delay) や細胞診断の結果について検討した.2ヵ月以上のphysician delayは32%にみられ, その原因として子宮体癌検診が施行されなかったものが60%, 内膜細胞診のunderdiagnosisあるいはsampling errorによるものが35%であった.細胞診の偽陰性率は子宮内膜増殖症では64%, 子宮体癌では13%であった.
    以上の結果より子宮体癌検診においては, high risk群に対して積極的に子宮内膜細胞診と組織診を併用することが望ましいと考えられた.
  • 五十嵐 信一, Keiji Naito, Shigeo Sato, Koichi Nara, Sadahiro Hosobe
    1994 年 33 巻 3 号 p. 495-499
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    免疫細胞化学を用い, 子宮肉腫における腫瘍マーカーの発現を検討した.多くの腫瘍マーカーは, 上皮性腫瘍同様に, 子宮肉腫でも不均一ながら発現がみられた.Carcinoembryonic antigen, α-fetoprotein, NCC-CO 450, epithelial membrane antigen, sialyl Tnが良性コントロールに比し, 子宮肉腫で有意に高頻度に発現していた.
    子宮肉腫における腫瘍マーカーに関して多くの情報が得られれば, 早期発見や治療に有用と思われる.また機能分子としての腫瘍マーカーに関する, 免疫細胞化学的検討は, 子宮肉腫の生物学的動態の把握に有力な武器となると思われる.
  • 沼田 ますみ, 小野田 登, 大貫 敬司, 山田 穣, 堤 寛, 長村 義之, 竹内 廣
    1994 年 33 巻 3 号 p. 500-503
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    明細胞が主体に構成される肺大細胞癌の1例を報告する.症例は86歳の男性.増量する喀疾を主訴に近医を受診し, 胸部X線写真上左肺上葉にcoin lesionを指摘された.気管支鏡下の気管支擦過細胞診を行いclassVと診断され, 左肺上葉切除術を施行された.
    気管支擦過細胞診所見は, 大小不同の著しい腫瘍細胞が, 比較的平面的に出現し, N/C比のばらつきも目立った.粗穎粒状のクロマチンを有し, 核小体の目立つ核と, ライト緑淡染性の淡明な細胞質を示した.切除肺には, 肉眼的に径3cmの黄白色境界明瞭な充実性腫瘍がみられた.病理組織所見では, 血管豊富な充実性腫瘍で, 明らかな扁平上皮癌および腺癌への分化は認めなかった.主体をなす細胞は, 細胞および核の大小不同が目立ち, グリコーゲンの豊富な明るい細胞質が特徴的であった.
    核の大小不同が非常に目立つ点と併せて, 細胞所見は組織所見をきわめてよく反映しているものと思われる.本邦における肺癌取扱い規約では, 明細胞癌は独立した組織型の存在が確認し難いとの理由で分類からは除外されている.WHO分類では肺明細胞癌は, 大細胞癌の一亜型として分類されており, その構成成分が淡明ないし泡沫状の胞体を有する腫瘍細胞であり, 腺細胞ないし扁平上皮への分化が認められていないものとして定義されており, そこに示されている基準を本例は満たしていると考える.腎細胞癌の肺転移を始め, 良性明細胞腫が鑑別診断として問題となったが, いずれも臨床検査上, また免疫組織化学的検索にて否定された.
  • 豊山 浩祥, 長谷川 和彦, 米村 哲朗, 賀集 一平, 千葉 渉, 伊藤 元彦
    1994 年 33 巻 3 号 p. 504-508
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    非常にまれな孤立性気管支乳頭腫の1例を経験した.
    症例は43歳, 女性.咳漱, 血疾を主訴とし, 胸部X線上右S6に塊状陰影を認めた.気管支鏡検査では右B6bはポリープ状の腫瘍で閉塞しており, 生検組織診断は乳頭腫の疑い, 洗浄細胞診では高分化扁平上皮癌を疑った.肺癌に準じて右下葉切除を施行した.腫瘍は5.0×5.0×3.0cm大で, 嚢胞状に拡張した右B6bに充満しており, 末梢肺は無気肺を呈していた.組織学的には気管支粘膜部に発生した分化のよい扁平上皮細胞の乳頭状増殖で, 浸潤増殖は認めず配列極性は保たれており乳頭腫と診断した.喀疾細胞診では炎症による軽度異型扁平上皮化生と診断したが, 気管支洗浄液中には重積性著明でmonotonousな細胞集塊を認め, 明らかに腫瘍性増殖集塊と考えられた.それらの細胞異型は軽度であったが構造異型を重視し, 高分化扁平上皮癌を疑った.孤立性気管支乳頭腫の細胞学的診断は喀疾細胞像のみでは困難であるが, 気管支鏡による積極的な細胞採取を行い腫瘍性増殖像を認めれぼ可能であると考えられた.
  • 畠 榮, 鐵原 拓雄, 森谷 卓也, 広川 満良, 真鍋 俊明, 玉田 貞雄, 中島 正光
    1994 年 33 巻 3 号 p. 509-513
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は, 38歳, 男性.全身倦怠感, 咳漱, 労作時呼吸困難がみられ, 精査治療目的のために当院呼吸器内科に入院となった.入院半年前の胸部X線写真では異常陰影が存在しなかったことから比較的急速に発症した症例と考えられた.
    気管支肺胞洗浄液の沈渣物と経気管支的肺生検の電子顕微鏡学的検索で多くのlamellar bodyを認め肺胞蛋白症と診断した.気管支洗浄液ならびに喀痰細胞診材料で, この物質構造は均一でライトグリーン好性を示し, PAS反応では陽性, ジアスターゼに抵抗性を示した.アルシアン青染色では陰性であった.
    喀痰ならびに肺胞洗浄液を特徴的な物質を認め, 肺胞蛋白症と診断できた1例を経験したので報告した.
  • 各務 新二, 石原 明徳, 上森 昭, 白石 泰三, 矢谷 隆一
    1994 年 33 巻 3 号 p. 514-521
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    われわれは比較的まれな胃腺扁平上皮癌を経験したのでその擦過細胞像を中心に報告する.
    患者は68歳, 男性で, 主訴は食欲不振であった.胃X線検査, 内視鏡検査にて角部小轡後壁に不整形の巨大潰瘍が認められた.擦過細胞像では, 炎症性細胞と壊死物質を背景に,(1) 散在性を主として出現し, 細胞質はオレンジG好染性で重厚に染色され, 線維状, 類円形, 多辺形など多形性に富み, クロマチンが濃染する扁平上皮系細胞,(2) 平面的に配列しN/C比大で, 細胞質はライトグリーンに濃染し, 肥大した核小体を有する扁平上皮系細胞,(3) 重積性を示し, 配列の不規則性がみられ, 細胞質は淡く, 核は偏在傾向を示す腺系細胞,(4) シート状に配列し, 細胞境界やや不明瞭で, 核は中心に位置し, 腺上皮と扁平上皮の両者の性格が混在する小型の未分化な細胞, の出現がみられ, 腺扁平上皮癌と診断された.同時に施行された生検組織診では高分化型管状腺癌とされた.切除胃の検索では7×6cm大のBorrmann II型の進行癌で, 組織学的には腫瘍中央表層部は高分化型扁平上皮癌, 深層部は中分化型扁平上皮癌, 辺縁部では中分化型腺癌が優位で, 部分的に腺癌, 扁平上皮癌が混在し移行する像を認め腺扁平上皮癌とされた.免疫組織学的には, 扁平上皮癌部はkeratin陽性, 電顕的には扁平上皮癌部にtonofilament desmosome形成, 腺癌部では, 微絨毛, 粘液顆粒が認められた.
  • 水野 義己, 小枝 吉紀, 原 一夫
    1994 年 33 巻 3 号 p. 522-525
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の男性.主訴は血尿および頻尿.自然尿による尿細胞診で, 散在性, 一部数個の小集団で出現して, N/C比の大きな, 核がやや偏在傾向にあり, 核小体が1個ないし数個みられる腫瘍細胞を認めた.免疫染色により, 膀胱の悪性リンパ腫と確定診断された.
    尿細胞診検体は日により腫瘍細胞の形態が異なり細胞形態のみでは確定診断が困難なことがあるが, 免疫染色はきわめて有効であった.
  • 佐々木 なおみ, 谷山 清己, 青木 潤, 山本 津由子, 金久 禎秀
    1994 年 33 巻 3 号 p. 526-529
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Human T lymphotrophic virus, type I (HTLV-I) は成人T細胞性白血病 (Adult T cell leukemia;ATL) の原因ウイルスである.われわれはHTLV-Iの関与する関節炎であるHTLV-I associated arthropathy (HAAP) を経験したので報告する.症例は52歳, 女性.右膝関節痛があり, 臨床的には変形性関節症と診断された.20年前に輸血をうけており, 血清, 関節液の抗HTLV-I抗体が陽性であった.関節液内にはリンパ球のほか, 単球, 組織球の浸潤がみられた.リンパ球では, ATLの際にみられる異型リンパ球の出現が少数認められた.末梢血に異常はなく, ATLの像は認められなかった.関節液の免疫染色では, リンパ球の多くがCD3, CD8, HLA-DR陽性の活性化T細胞であった.関節液細胞診はリンパ球の形態の確認, 免疫染色による表面マーカーの検索が可能であり, HAAPの診断に非常に有用であった.
  • 佐々木 毅, 村上 俊一, 中浜 昌夫, 福島 るみ子
    1994 年 33 巻 3 号 p. 530-535
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    小児の皮膚-皮下組織原発と考えられるKi-1陽性リンパ腫を経験したので報告する.
    症例は14歳女性で, 左膝内側部の腫脹, 38℃ 台の発熱の精査の目的にて当院内科入院となる.入院時左膝内側部には径約10cm, 熱感, 圧痛を伴う皮下腫瘤を認めた.初回の生検標本では, 組織学的に著明な好酸球浸潤を伴った肉芽腫様病変が認められ, 好酸球性筋膜炎 (EF) と考えられた.ステロイドホルモン投与により局所の腫瘤は, 一旦縮小傾向を示したものの, 全身のリンパ節腫脹を伴って再び増大した.胸腹水の細胞診にて, 異型組織球様またはポジキン病 (HD) 細胞様の単核細胞あるいはReed-Sternberg (RS) 細胞様の異型細胞が認められた.胸・腹水およびリンパ節, 2回目の皮下深部腫瘤生検の免疫組織化学にて, 異型細胞はKi-1抗原 (Ber-H2, CD30) 陽性であり, Ki-1陽性リンパ腫と診断された.
    小児のKi-1陽性リンパ腫は, 皮膚病変と末梢リンパ節腫脹を特徴とする.本症例は関節部の皮下深部腫瘤を初発症状とし, 末梢血液検査で好酸球増多, および腫瘤の生検組織診で著明な好酸球浸潤を伴い, 当初, EFとの鑑別診断が困難であった.皮膚のみならず, 深部軟部組織において, 肉芽腫性病変にHD細胞様あるいはRS細胞様の異型細胞を認めた場合, 常にKi-1陽性リンパ腫を鑑別診断にあげることが必要と考えられた.
  • 佐藤 隆夫, 今野 元博, 赤井 文治, 藤井 宏一, 丹司 紅, 前田 光代, 蛭間 真悟, 橋本 重夫
    1994 年 33 巻 3 号 p. 536-541
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    松果体部細胞腫のうち, まれな松果体実質細胞由来松果体細胞腫の1例を経験し, その圧挫細胞診像を観察する機会を得たので報告する.症例は65歳女性で, 腎機能低下のため, 当院内科に入院した.入院中に両下肢脱力, 頭重感, ふらつき, 物忘れを訴えたためCT検査が行われ, 松果体部の腫瘍がみつけられた.外科的に腫瘍の部分切除がなされたが, 術後腫瘍摘出部の局所腔内に出血がみられ, 脳浮腫, 脳室拡大, 水頭症が生じ意識レベルが低下した.その後, 腎機能の低下が進み, 術後約2ヵ月で死亡した.術中に, 凍結組織診が行われ, そのとき提出された検体の一部を圧挫細胞診標本とした.組織学的に, 腫瘍組織にはpineocytomatous rosettesが認められ, Bodian染色では好銀性線維の先端にゴルフクラブ状の膨らみが認められた.腫瘍組織は抗シナプトフィジン抗体陽性であり, 松果体細胞腫と診断された.圧挫細胞診像では, 腫瘍細胞は類円形の粗造なクロマチンを示す核をもち, 細胞質は少量で突起状で淡い.多稜形で広い細胞質をもつものが混在した.網状, 索状, 小塊状, 無細胞野を取り囲む冠状の配列を示した.細胞診断学上, 特徴ある細胞の配列が腫瘍の推定組織診断には重要な所見であると考えられた.
  • 五十嵐 信一, Keiji Naito, Shigeo Sato, Koichi Nara, Sadahiro Hosobe, Kenji ...
    1994 年 33 巻 3 号 p. 542-544
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    76歳の女性にみられた外陰腺癌の1例を報告する.この腫瘍は, 組織学的にcribriform patternやcomedo patternを呈し, 細胞診では八つ頭状集塊, 著明な核小体がみられ, それらの像は乳癌に類似していた.腫瘍細胞は, epithelial membrane antigen, keratin, carcinoembryonic antigenのみならずhuman papilloma virus antigenとestrogen receptorを発現していた.また, 多くの腫瘍細胞がproliferating cell nuclear antigen強陽性であった.本腫瘍の起源とbioiogical behaviorについて考察する.
  • 金森 康展, 板持 広明, 石原 浩, 皆川 幸久, 紀川 純三, 寺川 直樹, 竹内 薫
    1994 年 33 巻 3 号 p. 545-547
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸管ポリープに発生した上皮内癌の1症例について文献的考察を加えて報告した.症例は, 59歳, 主婦.子宮癌集団検診で要精査 (細胞診クラスIIIb) を指摘され近医を受診, 頸管ポリープ切除術を受けた.組織診で上皮内癌と診断されたため, 鳥取大学産科婦人科で円錐切除術を行い, 子宮頸部に残存病変がないことを確認した.細胞所見では, 老人性変化を伴う炎症性背景に, 異常角化細胞とともに労基底型の核異常細胞が散在性に出現していた.従来の報告から, 細胞診のみで頸管ポリープに発生した癌を診断することには限界がある.したがって, 頸管ポリープに対しては, 積極的にポリープ切除術を施行し, 病理組織学的検索を行うことが重要であると考えられた.
  • 熊谷 幸江, 高坂 公雄, 奥沢 悦子, 方山 揚誠, 土岐 利彦, 斉藤 淳子, 本山 悌一
    1994 年 33 巻 3 号 p. 548-553
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    扁平上皮癌・腺癌成分を伴った子宮頸部neuroendocrine carcinomaの1例を経験し, 術前子宮頸部擦過細胞診においてそれぞれの細胞成分が観察されたので報告する.
    症例は41歳の女性で, 子宮頸癌IB期の臨床診断により広汎子宮全摘術が施行された.細胞診では炎症性の背景に, 1) 小型核, 裸核状, 濃染核で, きわめて疎な結合性を示す肺小細胞癌類似の腫瘍細胞と, 2) これらよりやや大きめの核で索状配列や豊富な細胞質を有しときに核小体の目立っ平面的集塊の腫瘍細胞の二つの細胞型が観察された.また扁平上皮癌, 腺癌細胞もおのおの通常の腫瘍細胞の特徴を示し認められた.
    摘出標本の組織像は, N/C比の高い小型の腫瘍細胞が, 充実性に増殖する像が主体をなす肺小細胞癌類似の像と, やや大きめの核と豊富な細胞質を有し索状配列を示すカルチノイド様の像がみられた.腫瘍はGrimelius染色陽性で, 免疫組織学的にはNSE, chromogranin A, cytokeratin, CEA, serotonin, gastrinが検出された.電顕的にも神経内分泌顆粒が証明されたためneuroendocrine carcinomaと診断された.さらに微小浸潤扁平上皮癌と微小浸潤腺癌の像が隣接して認められるまれな組織型の頸癌であった.neuroendocrine carcinomaは予後不良であることが知られており, スクリーニング時裸核状の小型核をもつ異型細胞がみられたときは注意深い観察が要される.
  • 石山 功二, 武智 昭和, 栗原 操寿, 伊藤 良彌, 太田 博明, 大村 剛, 三浦 妙太
    1994 年 33 巻 3 号 p. 554-558
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮体部明細胞腺癌は比較的まれな腫瘍であるが, 今回われわれは, 子宮体部の明細胞腺癌を3例経験した.3例の細胞採取部位は頸部2例と体部1例で, その細胞像を再検討し, 低分化型腺癌と比較したので報告する.
    3例に共通する細胞所見は, シート状の細胞配列, 豊富で明調な細胞質を有し, 細胞境界は明瞭なものが多く, 核の偏在傾向はみられず, 核の大小不同は著明であった.核縁の肥厚はあっても薄く, クロマチンは細顆粒状で, 均等~不均等分布を示し, 核小体は大型であった.腫瘍細胞は, 3例とも組織学的には充実性の構造を示していた.
    以上の所見と低分化型腺癌を比較した結果, 低分化型腺癌ではシート状の細胞配列が出現しても, 同時に腺癌に特有な重積や腺管様配列を示す所見がみられた.また, 明細胞腺癌は低分化型腺癌よりN/C比が小さく, 核小体は大型であり, さらに細胞所見が多彩であるのに対し, 低分化型腺癌では核所見に多彩な傾向がみられた.しかし, 両者には類似点も多く, その相異は微妙であるが, 以上の違いを把握したうえでの注意深い観察により, 明細胞腺癌の細胞診断も可能であると考えられる.
  • 寺澤 晃司, 近藤 肇, 長町 典夫, 香川 和三, 広瀬 隆則, 山本 洋介
    1994 年 33 巻 3 号 p. 559-562
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸管擦過細胞診でcomet cellの出現を認めた子宮内膜間質肉腫のまれな1例を経験したので報告する.症例は31歳の経妊4回, 経産3回の主婦で, 主訴は不正性器出血.腫瘍は子宮体下部から頸部にかけて3×4×5cm大の黄白色調の硬い境界不鮮明な浸潤性腫瘤として認められた.擦過細胞診では, 小型類円形の増殖期子宮内膜間質細胞類似の比較的均一な腫瘍細胞が主として孤立散在性にみられ, その中には胞体が有尾状を呈するいわゆるcomet cellが散見された.摘出標本の病理組織診では, 腫瘍細胞は小胞巣状に筋層間へ増生し, 脈管内への浸潤も認められた.核分裂数は6/10HPFであった.免疫組織学的には, Vimentinは陽性, Smooth muscle actin, Desmin, Cytokeratin, Epithelial membrane antigenは陰性であった.
    Comet cellの出現は子宮内膜間質肉腫の細胞診断上留意すべき所見と考えられる.
  • 竹原 和宏, 永井 宣隆, 上馬場 是美, 大濱 紘三
    1994 年 33 巻 3 号 p. 563-567
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮原発のepithelioid leiomyosarcomaの1例を経験したので報告する.
    症例は82歳の女性で, 低血糖による意識障害を主訴に内科を受診し, 画像診断により下腹部腫瘤を指摘され, 当科へ紹介受診となった.開腹術で子宮壁から発生した腫瘍であることが確認され子宮全摘出術ならびに両側卵巣摘出術を施行した.腫瘍部分の捺印細胞診では, 出血性背景のもとに軽度の大小不同を伴う多稜形ないし短紡錘形の腫瘍細胞を認め, 核は類円形ないし楕円形で, 一部の細胞では分葉状であり, クロマチンは顆粒ないし粗網状で, 明らかな核小体は観察されなかった.細胞質は辺縁明瞭でcyanophilicで比較的広く厚かった.また多核細胞, 巨細胞も散見された.病理組織学的には, 豊富な細胞質を有する短紡錘形細胞と多角形細胞の2種類の細胞が浸潤性に増殖しており, 大部分は明るい胞体を有する類上皮様細胞よりなり, 核分裂像は平均10/10HPF認められた.また免疫組織化学的検索では, vimentin, desminがともに陽性となり, cytokeratinが巣状に陽性を示した.以上より子宮に原発したepithelioid leiomyosarcomaと診断した.
  • 井谷 嘉男, 伊藤 公彦, 倉井 信夫, 興椙 隆, 仲原 鈴美, 染谷 香代子, 川野 夕起子, 野田 恒夫
    1994 年 33 巻 3 号 p. 568-574
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣原発の中胚葉性混合腫瘍mesodermal mixed tumor (以下MMT) はまれな疾患で, 国内の報告例は23例にすぎない. 今回, われわれは卵巣原発MMT homologous typeの症例を経験した.症例は54歳, 5妊4産, 閉経50歳の主婦で, 全身倦怠感, 腹部膨満感および呼吸困難を主訴として受診.超音波断層法とCTにて, 下腹部より横隔膜下におよぶhigh density partに一部cystic low density partを含む腫瘍と, 多量の胸・腹水を認めた.血清CA 125 440U/ml, LDH3, 212IU/lと上昇し, 開腹手術を行い卵巣悪性腫瘍IV期と診断し, cytoreductive surgeryを施行した.腹水細胞診では, レース状の細胞質と明瞭な核小体を有する腺癌細胞が主であり, 腫瘍の捺印細胞診では好塩基性に淡染する辺縁不明瞭な細胞質と, 紡錘形または類円形の核を有する非上皮性悪性細胞が存在した.病理組織学的には類内膜腺癌と肉腫成分が混在し, 免疫染色と特殊染色にてMMT homologous typeと診断した. carboplatinとetoposideの併用化学療法により軽快し, 一時的に外来通院可能となった.本症の細胞学的および病理組織学的検討を行い, さらに組織発生や化学療法についても考察した.
  • 木村 雅友, 宇野 重利, 上杉 忠雄, 前田 光代, 佐藤 隆夫
    1994 年 33 巻 3 号 p. 575-576
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 松田 実, 元林 宏子, 岸上 義彦, 建石 龍平
    1994 年 33 巻 3 号 p. 577-578
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 岡本 清尚, 中村 淳博, 杉江 茂幸, 田中 卓二
    1994 年 33 巻 3 号 p. 579-580
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 稲毛 芳永, 赤荻 栄一, 山本 達生, 三井 清文, 小川 功
    1994 年 33 巻 3 号 p. 581-582
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 丸山 博司, 小谷 広子, 倉堀 純, 横山 豊子, 松田 実
    1994 年 33 巻 3 号 p. 583-584
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 中村 直哉, 佐藤 美知子, 安倍 裕子, 阿部 正文, 若狭 治毅
    1994 年 33 巻 3 号 p. 585-586
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 黒滝 日出一, 菅 三知雄, 貝森 光大, 吉岡 治彦, 鎌田 義正
    1994 年 33 巻 3 号 p. 587-588
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 清水 道生, 広川 満良, 森谷 卓也, 物部 泰昌, 中島 正光
    1994 年 33 巻 3 号 p. 589-590
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 長島 義男, 杉田 道夫, 室谷 哲弥, 杉下 匡, 坂本 穆彦
    1994 年 33 巻 3 号 p. 591-592
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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