日本臨床細胞学会雑誌
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自己採取スメアによる子宮頸部上皮内病変の診断は可能か
土岐 利彦満下 淳地森 篤藤井 信吾山上 修清沢 長子林 茂子桜井 博文
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1995 年 34 巻 1 号 p. 16-20

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抄録

手術を予定した25例の子宮頸部上皮内病変を対象として, 自己採取法および通常の採取法の子宮頸部スメアを作製し, 自己採取スメアの細胞像を通常のスメアおよび組織診断と対比した. その結果, 自己採取スメアの細胞像は以下のような特徴を呈していた.
1) 出現細胞の大部分が正常の表層・中層扁平上皮細胞であり傍基底細胞は少数であった.
2) 頸管内上皮成分である頸管腺細胞や扁平上皮化生細胞はきわめて少数で, しばしば変性像を伴っていた.
3) 異型細胞は全くみられないか, または通常の採取法と比較して非常に少数であった.
4) 異型細胞のみられる標本では, 出現異型細胞は主として散在性に出現し, しかも変性像を呈しているものが多かった. このような異型細胞の多くは, 直接擦過されたものではなく, 自然剥離後に変性を伴ったものと考えられた.
以上の結果から, 子宮頸部上皮内病変の検出法として, 自己採取法のスメアは誤陰性になる可能性が高いことが推察され, 自己採取法は頸部上皮内病変のスクリーニング法としては問題があると思われる.

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