日本臨床細胞学会雑誌
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閉塞性黄疸に対するPTCD胆汁細胞診とK-ras点突然変異の解析
味木 徹夫藤盛 孝博塚本 龍子渥美 亜紀子小野山 裕彦前田 盛斎藤 洋一
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1995 年 34 巻 3 号 p. 424-428

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抄録

K-ras変異検出の診断への応用が膵液で報告されているが, われわれはPTCDから採取した胆汁中からK-ns変異を検討し, 胆道狭窄をきたす疾患の確定診断への一助となりうるかを考案した. 胆汁中細胞を使うにあたり, 胆汁には強い細胞障害性があるため, まず基礎的検討として, 培養細胞NOZを使って胆汁曝露時間による検体の使用の可否を検討した. 高分子DNA抽出は胆汁曝露後6時間まで可能で曝露12時間では不可能となり, PCR法によるDNA増幅は胆汁曝露後12時間まで可能で曝露24時間で不可能となった. したがって, 新鮮材料を使用し, 胆汁中の微量癌細胞検出の目的で高感度のK-ras検出法を組み合わせれば, K-ras変異が確定診断の一助となる可能性があると考えられた. 次に, 臨床材料として, 13例のPTCDから採取した新鮮胆汁のDNAを使用し, 高感度検出が可能なenriched PCR法でK-ras codon12の点突然変異を検討した. その結果, 画像や臨床経過から膵癌と診断された症例にはK-ras変異が検出でき, K-ras変異検討が膵癌確定診断の一助となる可能性が示唆された.

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