日本臨床細胞学会雑誌
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喀痰中に腫瘍細胞の出現した胸膜限局性悪性線維性腫瘍の1例
阿部 明美堀江 靖杉原 千恵子永見 光子安達 博信井藤 久雄元井 信
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1995 年 34 巻 3 号 p. 466-471

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抄録

喀痰中に腫瘍細胞の出現した胸膜限局性悪性線維性腫瘍の1例を報告する. 症例は77歳女性. 5年前に左肺舌区の臓側胸膜下に大きさ3.0×2.7cmの腫瘍が認められ摘出された. 組織学的には, 紡錘形腫瘍細胞が錯綜しながら密な束状増生を示していた. 今回, 同側胸腔内に巨大な腫瘍が認められ, 針生検が行われた. 組織学的に前回と同一像であり再発と考えられた. 酵素抗体法では腫瘍細胞はvimentinのみに陽性であった. 以上より胸膜限局性悪性線維性腫瘍と診断した。再発時に喀痰中に少数ながら腫瘍細胞が検出された. 喀痰に腫瘍細胞を認めた胸膜悪性中皮腫の報告はきわめてまれで, 文献上7例に過ぎずいずれもびまん型で, 胸膜限局性悪性線維性腫瘍の報告例は認めなかった。

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