1995 年 34 巻 4 号 p. 675-679
13歳の女性の胸腺原発の悪性リンパ腫の胸水中に, リンパ腫細胞を胞体内に保有する大型細胞が多数観察された. 通常の喰食現象と異なり, 胞体内のほとんどのリンパ腫細胞には核の崩壊像, cell debrisは認められず, 核分裂像が散見されることからviableであると考えられ, いわゆるemperipolesisに相当する所見と考えた. 細胞表面マーカーの検討と免疫染色の結果, 大型宿主細胞はマクロファージのマーカーが陽性であり, リンパ腫細胞はT細胞性リンパ芽球性であった. Emperipolesisの意義については明確ではないが, 悪性リンパ腫の体液中に著明なemperipolesisが観察された報告はきわめてまれであり, 今後の参考になると考えた.