日本臨床細胞学会雑誌
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Fluorescence in situ hybridization法におけるハイブリダイゼーション時間の影響
黒瀬 顕柳沢 忍三浦 康宏佐々木 功典柴田 祐二
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1995 年 34 巻 6 号 p. 1054-1057

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抄録

現在染色体解析に広く用いられているfluorescence in situ hybridization (FISH) 法では, ハイブリダイゼーションに通常一晩以上を要する. 近年, このハイブリダイゼーション時間を短縮したキットが市販されだした. そこでこのキットを用い, ハイブリダイゼーション時間30分, 2時間および12時間において, シグナル数の比較を行った.
17番染色体αサテライトDNAプローブを用いた場合, 12時間のハイブリダイゼーションでは正常ヒトリンパ球の95%以上に2個のシグナルを検出できたのに対し, 30分のハイブリダイゼーションではリンパ球の75.5%にしか2個のシグナルを検出できなかった. 大腸癌検体においては, 30分, 2時間そして12時間と, ハイブリダイゼーション時間が増すにつれシグナル数は増え, さらに, その分布に大きな変化がみられた. したがって十分なシグナル検出のためには, 従来通り一晩以上のハイブリダイゼーションが必要と考えられる.

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