1996 年 35 巻 2 号 p. 168-171
68歳の男性で肋骨に発生した軟骨肉腫の1例について針穿刺液の細胞所見とともに類似病変の鑑別を主に考察を加えた. 左前胸壁の痛みを主訴とし, CTおよびMRIで左肋軟骨部に辺縁明瞭な腫瘤を認め, 針穿刺吸引細胞診を施行した. 細胞診所見は, 背景に軟骨基質があり, その中に細胞の大小不同, 核の肥大化, 核小体の明瞭化や2核細胞も混じえる腫瘍細胞を多数認めた. また, 散在性に大型細胞で細胞質の空胞や核の核小体が目立つ腫瘍細胞も認めた. 年齢, 性別, 採取部位などと併せ, 軟骨肉腫と診断. 切除腫瘤の病理組織診で左第4肋骨原発の高分化型軟骨肉腫と診断された