日本臨床細胞学会雑誌
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Estrogen作用の存在が考えられる頸管粘液の多量分泌をともなった高齢婦人の1例
林 和彦飯田 智博竹内 久清与那嶺 京子諏訪 秀一安田 玲子半田 留美子品川 俊人
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1996 年 35 巻 2 号 p. 172-176

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抄録

肥満の閉経婦人では, 過剰な脂肪組織でandrostenedioneからestroneへの変換と, さらにestroneからestradiolへの変換が起き, しかも, 血中ではsexhormone binding globulin濃度の低下があるために相対的にfreeのestrogenが増加した状態が惹起されている. そしてそのestrogenは子宮内膜に持続的作用を及ぼし, 子宮内膜癌の発生しやすい状態をもたらしている. 一方では, estrogenを自ら産生する表層上皮性卵巣癌や穎粒膜細胞腫などの報告も認められる. いずれにしろ, 閉経婦人における高estrogen環境は, 子宮内膜癌や卵巣癌の存在に留意すべきである. 今回は, 高齢婦人でありながら,持続的estrogen作用の存在を示唆する多量の頸管粘液を認め, 子宮内膜細胞診でも経過観察の過程で, 内膜病変の進展が推測された症例を経験した. 本例は肥満もなく,血清estrone (Eo) 値とestradiol (Ed) 値も低かったが, 頸管粘液は多量に分泌されていた. 閉経婦人で高estrogen状態が示唆された場合には, 子宮内膜癌や卵巣癌の存在に留意しておく必要がある.

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