抄録
ミュラー管腺肉腫は, 非上皮性成分が肉腫様の悪性成分で上皮性成分が良性であるものをいう. Clementら1) が初めて報告したが, 本邦での報告例は少なく, 非上皮性成分が異所性の横紋筋肉腫であるものの報告は認められない. 今回, われわれは, 異所性成分が横紋筋肉腫であることをPTAH染色, 免疫染色で確認したミュラー管腺肉腫を経験したので, 細胞診所見を含め, 報告する.
症例は58歳の女性, 多量の性器出血で受診し, 子宮体部腫瘍の診断で入院した. 子宮内膜細胞診では, 腫瘍性背景の中に細胞質に乏しく, 楕円形の核を持つ細胞が孤立散在性に存在し, 肉腫が疑われた. 組織学的には問質成分は多型性に富む細胞質を持ち, 高度の核異型を持つ, 腫瘍細胞で占められ, PTAH染色で横紋を認めた. 上皮成分は増殖期の子宮内膜腺に類似し, 異型は認められない. 免疫染色では肉腫部分でデスミンおよびミオグロビンが陽性であることより, ミュラー管腺肉腫 (heterologous) と診断された.