日本臨床細胞学会雑誌
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甲状腺乳頭癌の分化度推定に関与する細胞学的特徴の検討
荒井 祐司都竹 正文坂本 穆彦
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1997 年 36 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

組織学的に確定診断の得られた甲状腺低分化型乳頭癌13症例と甲状腺高分化型乳頭癌17症例の穿刺吸引細胞診標本より両型の細胞像を比較し, 低分化型の細胞学的特徴を明らかにすることを目的として検討を行った.
低分化型の細胞学的特徴は, 1. 小集塊での出現が主で, 孤立散在傾向も認められる. 2. 集塊は, 細胞配列の乱れと重積性が強く, 一部には結合性の低下 (ほつれ) が認められる. 3. 核は高分化型より大型で楕円形が主体, 大小不同性が強い. 4. 同一標本上に, 高分化型の集塊の出現を認めることがある.
また, 正常および良性濾胞上皮細胞, 高分化型, 低分化型との核の形状の比較を行った結果, 核の大きさ, 大小不同性, 核形 (核の丸さ) において濾胞上皮と高分化型および低分化型の間に有意差が認められ (t-検定), 核の形態からも鑑別が可能であることが示唆された.

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