日本臨床細胞学会雑誌
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Anaplastic large cell lymphomaの3例
荻田 達二大原 信哉大倉 強
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1997 年 36 巻 4 号 p. 392-397

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抄録

当院で経験したanaplastic large cell lymphoma (ALCL) の3例につき, その細胞像を検討した.症例は18歳および22歳男性, 85歳女性で, リンパ節生検にて, Ber-H2 (CD30) 陽性のALCLと診断された.生検材料の捺印細胞像は, 細胞質が広いものが多く, 核は大型で, 形の不整, 深い切れ込みやしわがあり, 背景には成熟リンパ球や組織球がみられた. また症例により, 数の多少はあるが, ドーナツ状環状核や花冠状配列を認め, ALCLの特徴と考えられた.ただし, 症例問で, 核形や核の大きさ, 多核細胞の混在の程度などの所見には差があり, 1例ではリンパ節材料の細胞像と経過中の腹水材料のそれとの間にも若干の差異がみられた. また, いずれの症例にもHodgkin細胞と類似する腫瘍細胞もあった.ALCLを疑った場合は, 細胞像の詳細な観察とともに, 組織診, 免疫組織染色をあわせた検討が必要と考えられた.

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