日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部Villoglandular adenocarcinomaの1症例
香田 浩美則松 良明尾関 祐里沖野 毅津嘉山 朝達長谷川 雅明濱崎 周次
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1997 年 36 巻 4 号 p. 398-402

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抄録

まれな子宮頸部原発Villoglandular adenocarcinoma (VGA) の1症例を経験したので, その細胞像を中心に報告した. 症例は30歳女性, 1妊1産. 下腹部痛, 腰痛を主訴とし, 当院産婦人科を受診. 子宮頸部に微細な乳頭状病変を認め, コルポスコピーでも同様の所見であった. 子宮頸部・頸管擦過細胞診では, 比較的小型の腺系細胞が平面的にやや不規則な配列で出 現していた. クロマチンは繊細で核小体は目立たなかった. また標本中の1箇所に, 不規則に突出・分岐した多数の腺管からなる大型細胞集塊がみられ, 早期の頸部腺癌を推定した. 生検組織診で, 丈の高い乳頭状あるいは絨毛状構造がみられ, VGAと診断された. conebiopsyの結果, 12切片中の3切片に, Adenocarcinoma in situ (AIS) を認めた. VGAは, 現在までに世界で40数例の病理組織学的報告があるが, 本邦での細胞学的報告は, われわれの知る限りでは未だ1例もない.

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