日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診で診断し得た卵巣ミューラー管混合腫瘍の1例
橋本 茂可西 直之鈴木 綾子鈴木 信孝生水 真紀夫井上 正樹
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1997 年 36 巻 5 号 p. 512-516

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抄録

卵巣原発ミューラー管混合腫瘍 (stage IIIc) 症例に対し, 腹水細胞の免疫細胞化学的検討を行い, 診断の補助たりえたので報告する. 症例は69歳で, 腹部膨満, 便秘, 頻尿を主訴に当科を受診し, 下腹部に腫瘤を触れ, CA125が異常高値であった. 手術療法後, 化学療法を施行した. 術後3年7ヵ月経過した現在, 再発兆候なく健在である.手術時摘出物の病理組織学的所見は, 腹腔内に広範な転移を伴う右卵巣原発のミューラー管混合腫瘍であり, 腹水穿刺吸引細胞診で出現した2種類の細胞に対して施行した免疫染色では, 腺癌様細胞でCA125染色, BerEP 4染色が陽性, かつVimentin染色が陰性, 肉腫様細胞では逆に, CA 125染色, BerEP 4染色が陰性で, かつVimentin染色が強陽性であった.ミューラー管混合腫瘍の細胞診断には, CA 125, BerEP 4, Vimentinの免疫化学的染色がきわめて有用であった.

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