日本臨床細胞学会雑誌
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von Recklinghausen病にみられた空腸gastrointestinal stromal tumorの1例
忠岡 好之広川 満良中村 悦子福岡 恵子物部 泰昌清水 道生鐵原 拓雄
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1998 年 37 巻 4 号 p. 423-426

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抄録

von Recklinghausen病患者の小腸にみられたgastrointestinal stromal tumorの1例を報告する.患者はvon Recklinghausen病を有する22歳の女性で, 小腸造影にて空腸に直径3cmの腫瘤が認められたため摘出術が行われた.摘出された小腸腫瘤は2.0×1.5×1.3cm, 灰白色充実性で, 周囲との境界は明瞭であった.免疫組織化学的に, 腫瘍細胞はS-100蛋白陰性で, CD 34が強陽性であったことから, gastrointestinal stromal tumorと診断された.腫瘤の割面から擦過した塗抹標本では, 紡錘形核を有する異型性の乏しい腫瘍細胞が裸核状, 孤立散在性に出現していた.短軸方向に鋭い切れ込み像を有する核も散見された.この核所見は神経鞘腫や平滑筋腫では配載がなく, 本疾患の診断に役立つか否かは別として, 大変興味深い所見と思われた.

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