日本臨床細胞学会雑誌
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色素嫌性腎細胞癌成分を伴った肉腫型腎細胞癌の1例
桜井 孝規広川 満良清水 道生寺山 清美鐵原 拓雄三宅 康之
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1998 年 37 巻 4 号 p. 427-430

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抄録

色素嫌性腎細胞癌成分を伴った肉腫型腎細胞癌の1例を報告する. 患者は57歳の女性で, 右腎臓に12×8×8cm大の腫瘤が認められたため, 腎摘除術が行われた. 摘出された腫瘤の捺印細胞診では, 異型性に富む紡錘形細胞と核周囲明量や明瞭な細胞境界を特徴とする多稜形細胞の二種類の腫瘍細胞が観察された. 組織学的には腫瘍のほとんどは肉腫型の腎細胞癌で占められており, 一部に色素嫌性腎細胞癌の成分が存在した. 患者は腎摘除術から2ヵ月後に多発性の転移と癌性腹膜炎のため死亡した. 他の組織型よりも予後良好といわれている色素嫌性腎細胞癌が予後不良の肉腫型腎細胞癌に合併した症例の細胞像に関する報告はわれわれの調べた限りなく, 本例はきわめてまれな症例である.

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