日本臨床細胞学会雑誌
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胆嚢病変に対する胆汁細胞診の陽性率に関与する因子について
川井 俊郎藤井 丈士石田 晶子浦崎 晃司久保野 幸子鈴木 智子本望 一昌斎藤 建
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1999 年 38 巻 4 号 p. 299-304

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抄録

胆嚢病変に対する胆汁細胞診の陽性率に関与する因子を知ることを目的に, 胆嚢病変265例, 検査回数1245回を対象とし, 検査回数や採取方法の差異が陽性率に与える影響を検討し, さらに切除例25例においては, 病理学的因子と陽性率の相関を検索し以下の結果を得た.
1. 胆嚢癌に対する胆汁細胞診の陽性率は67.3%であり, 手術的切除例の陽性率は57.7%であった.
2. 検査回数が多いほど陽性率は高くなったが, 検査回数にもかかわらず細胞診が陽性とならない腫瘍側の因子が示唆された.
3. 偽陰性の検査回数は陽性例のそれに比べ少なかった.
4. 胆嚢癌症例において1回の検査での陽性率は38.1%であった.
5. 採取方法別の陽性率では, ENBD法66.7%, PTBD法64.2%, PTGBD法76.0%であった.
6. 高分化型乳頭腺癌の陽性率は低かった.

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