日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
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Conization in pregnant women with uterine cervical intraepithelial neoplasia III
白井 貴子Haruko JIMBOKoji MATSUMOTOTakahiro KASAMATSUMichiko TAKAHASHIKenji SHIROMIZUYusaku SANO
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2001 年 40 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

目的:子宮頸部上皮内腫瘍 (CIN III) 合併妊婦に妊娠中, 円錐切除術を施行せずに経過観察が可能かどうかを検討した.
症例と方法:症例は1992年から1998年までに当科で治療したCINIII合併妊婦9例について検討した. 初診時に全症例について細胞診, コルポ診, 狙い組織診を施行した. 妊娠中円錐切除術なしに経過観察を希望した患者には, この3方法を妊娠中および分娩後に施行した. 円錐切除術と蒸散術はYAGレーザーを使用した.
結果:妊娠中円錐切除術をせずに経過観察をした症例は7例である. これら7例のうち5例は円錐切除術を, 2例は腹式単純子宮全摘術を分娩後に受けた. この7例の子宮頸部の臨床的, 細胞組織学的所見は手術時まで継続し, 微小浸潤癌は発見されなかった. 全例とも正常分娩をしている. 他の2例には妊娠中に円錐切除術を施行しており, 初回の生検標本で, 1例には高度異型上皮が, もう1例には上皮内腺癌が認められた.
結論:CINIII合併妊婦は妊娠中, 分娩後も, 細胞診・コルポ診・組織診を組み合わせた検査により安全に経過観察ができる. ただし, 細胞組織学的に頸部腺系病変を疑う症例においては, さらなる検討が必要であると考えられる.

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© The Japanese Society of Clinical Cytology
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