日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部すりガラス細胞癌の細胞学的特徴
梅澤 敬春間 節子金綱 友木子宮沢 善夫加藤 弘之山口 裕遠藤 泰彦安田 允
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2001 年 40 巻 2 号 p. 114-120

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抄録

目的:子宮頸部に原発したすりガラス細胞癌の細胞学的特徴の把握と細胞診による診断基準の向上を目的に細胞学的検討を行った.
方法:1994年~2000年の7年間に慈恵医大附属柏病院の産婦人科で治療を受けた, 子宮頸部原発すりガラス細胞癌の6例を対象とした. 年齢は平均54.5歳 (38~75歳), ともに不正出血を主訴に来院した. 採取方法は6例とも子宮腔部から綿棒擦過により採取し, 各細胞診標本を検討した結果, 以下の知見が得られた.
成績:術前の子宮腔部擦過細胞診にて症例1, 2は大型の非角化型扁平上皮癌, 他はすりガラス細胞癌と診断した. Retrospectiveに行った細胞形態的検討より, 6例のすりガラス細胞癌に共通した以下6つの特徴的な細胞診所見を見い出せた.(1) 核は大型円形あるいは類円形, 核縁は円滑で肥厚し核型不整は乏しい.(2) クロマチンパターンは粗大顆粒状で不均等に分布.(3) 単一で円形あるいは不整形で数個の明瞭な核小体.(4) 細胞質は豊富で多辺形, 微細顆粒状.(5) 多核巨細胞の混在と多形性が目立った.(6) 角化異常細胞, 腺管構造は認めないであった.
結論:細胞学的形態は組織学的所見を裏付けるものであり, 以上の詳細な細胞形態の認識とすりガラス細胞癌の疾患概念をもっことで, 細胞診によって推定することが可能と思われた.

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