日本臨床細胞学会雑誌
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頭蓋内原発血管外皮腫の1例
池田 栄二阿部 仁潮見 隆之吉田 一成
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2001 年 40 巻 2 号 p. 149-152

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抄録

背景:頭蓋内原発血管外皮腫の1例を経験し, 捺印細胞診像を検索したのでその特徴につき報告する.
症例:28歳, 男性. 約半年の経過で視野狭窄が進行し, 頭痛, 嘔吐を認めた. 画像所見上, 右頭頂後頭部に, 硬膜に接した最大径6cmの分葉状, 血管豊富な腫瘍を認めた. 切除検体からの捺印細胞診では, 2種類の細胞からなる重積性のある細胞集塊を認めた. 楕円形核を持つ細胞は, 重積傾向が目立ち, 核縁が軽度不整で粗穎粒状クロマチンを有していた. もう一方の長円形核を持っ細胞は, 長軸方向に一列に配列し, 血管と考えられる管腔を形成, 核縁整で微細穎粒状クロマチンを有していた. 免疫染色にて, 管腔を形成する細胞はCD34陽性であった. 病理組織学的検索では, 腫瘍内には分岐する多数のスリット状血管腔を認め, 特徴的な鹿の角状の血管もみられた. 血管問に円形から卵円形腫瘍細胞の充実性増生が認められ, 同部には細胞周囲性に細網線維網形成を伴っていた. さらに免疫組織学的検索を行い, 血管外皮腫と診断した.
結論:本症例の捺印細胞診では, 細胞集塊内に分岐する血管が明瞭に描出された. この所見は, 血管外皮腫の特徴である分岐状血管を伴った腫瘍細胞の増生を明確に示すものであり, 診断的価値が高いと考えた.

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