抄録
背景:乳腺疾患において穿刺吸引細胞診は有用な検査であり, 画像診断でそれぞれ推定した組織型が細胞診で推定した組織型とすべて一致したときには, 細胞診が最終診断となりうる.細胞診において, 組織型推定をし得る診断をするためには, 細胞量が十分で, かつ構造を保たれていることが必要である.
乳腺の穿刺細胞診において, 組織型を推定し得る診断をするために, 適した針を選択する.
方法:5種類の穿刺針 ((1) 27G2.5cm,(2) 27G30cm,(3) 22G 3.8cm,(4) 22G 7.5cm,(5) 21G 4.3cm) を用いて摘出標本の割面から採取した細胞診の検体を4段階に分けて評価した.
A: 組織型を推定し得る十分な細胞量が採取され, かつ構造が保たれているもの.B: 細胞量がやや少なく構造を保った細胞集塊も少ないもの.C: 細胞数過少のため判定困難なもの.D: 細胞が取れていないもの.
結果:(1) 27G 2.5cm, A: 1例, B: 5例, C: 4例, D: 5例.(2) 27G30cm, A: 2例, B: 6例, C: 3例, D: 4例.(3) 22G 3.8cm, A: 8例, B: 2例, C: 3例, D: 2例.(4) 22G 7.5cm, A: 12例, B: 2例, C: 1例, D: 0例.(5) 21G 4.3cm, A: 12例, B: 3例, C: 0例, D: 0例.
結語:針の径と長さが細胞採取量を左右することが示され, 今回の検討では, 径は22G, または21Gが適しており, 長さは長い方が有利であった.乳腺穿刺吸引細胞診に最も適した針は, 22G 7.5cm (カテラン針) であると考える.