日本臨床細胞学会雑誌
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乳腺細胞診および画像診断における組織型推定の現状と問題点
難波 清
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2001 年 40 巻 5 号 p. 505-511

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抄録

近年のわが国における乳癌の診断学の進歩は著しい. 視触診から切開生検という従来の診断過程は, 画像診断からより非侵襲的な細胞診, 針生検に置換されてきた. 良悪性の鑑別診断のみならず治療や経過観察の決定までもが細胞診に求められるようになり, その診断学は複雑高度化した. その中で, 乳腺腫瘍の病理組織型を形態学の基本として, 画像診断と細胞診断の両者が組織型の推定を念頭に置いてアプローチするという考え方が重要性を増している.
ブレストピアの超早期乳癌診断システムにおける約12,000件の乳腺細胞診と画像診断や病理診断の経験をもとに, 臨床医の立場から画像診断と細胞診における組織型推定の現状と問題点を具体的に検討した. 形態パターン分類から組織型を念頭に置いた画像診断を行う. 得られた組織型推定をもとに, 検体採取の工夫や細胞検査士への情報提供, フィードバックなどを行うことで, 画像, 細胞両者の診断精度の向上が達成できる. そのためには, 相互の往来のある診断システム作りが重要である.

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