日本臨床細胞学会雑誌
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腹水に出現した卵巣癌細胞のp53およびp27蛋白の発現と予後の検討
中澤 久美子弓納持 勉石井 喜雄端 晶彦石井 知恵柏原 賢治三俣 昌子星 和彦須田 耕一加藤 良平
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2002 年 41 巻 2 号 p. 83-88

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抄録

目的:卵巣癌の腹水細胞診陽性例において, 癌細胞のp53およびp27蛋白の発現と予後との関連性について検討した.
対象および方法:対象は進行卵巣癌45例で, 5年以上生存の予後良好群18例 (漿液性腺癌9例, 粘液性腺癌3例および類内膜腺癌6例), 5年未満の予後不良群27例 (漿液性腺癌17例, 粘液性腺癌3例, 類内膜腺癌5例および明細胞癌2例) である. 免疫染色は核のみで評価し, 全癌細胞中の陽性細胞の占める割合で表わした.p53は癌細胞数が11%以上を陽性, 10%以下を陰性とし, p27は50%で高陽性と低陽性に分けた.
結果:P53蛋白は, 漿液性腺癌26例中11例が陰性で, その7例が5年以上生存で予後との関連が認められた (p=0.0091). しかし, すべての組織型でみるとp53蛋白の発現と予後とに有意な関連は認められなかった (P=0.2201). p27蛋白では, その発現と予後とに関連はなかったが, P53と組み合わせると, p53陰性・p27高陽性例で有意に予後が良好であった (p=0.0052).
結語:腹水中の卵巣癌細胞におけるp53およびp27の発現は, 卵巣癌の重要な予後因子と考えられた.

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