2002 年 41 巻 5 号 p. 345-348
背景:子宮体部原発の悪性リンパ腫はきわめてまれな腫瘍であるが, 今回子宮癌検診で発見された1例を経験したので報告する.
症例:57歳女性.子宮癌検診の頸部擦過細胞診にて悪性リンパ腫が疑われ, 子宮内膜生検でBcell typeの非ポジキンリンパ腫と診断された.全身検索にて, 子宮体部以外に病変はみられず, 子宮体部原発悪性リンパ腫 (Ann-Arbor分類Stage IE) の診断のもとに, 準広範子宮全摘術と, 術後化学療法5クールが施行された.
結論:今回のわれわれの症例は子宮体部原発にもかかわらず, 検診時の子宮頸部擦過細胞診にて発見された.その理由として腫瘍が子宮内腔に突出しており, 表面が壊死性で, 腫瘍細胞が剥離しやすかったことが考えられる.腫瘍細胞は弱拡大でリンパ球の集簇のようにみえたが, 核はやや大きく, 核形の不整が著明で, 悪性リンパ腫の診断は比較的容易であった.