日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体部明細胞腺癌の2例
太田 誠板持 広明金森 康展入江 隆紀川 純三寺川 直樹皆川 幸久
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2002 年 41 巻 5 号 p. 341-344

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抄録

背景:子宮体部明細胞腺癌は体癌の約1~3%とまれな疾患である. 本症の2例を経験したので, 細胞所見を中心に報告する.
症例:症例165歳. 子宮は鶏卵大で, 内腔の全体に乳頭状増殖を認めた. 組織診断はtubular typeの明細胞腺癌であった. 左閉鎖節に転移を認め, 体癌IIIc期と診断. 細胞所見では, 細胞境界不明瞭な重積性細胞集塊と一部にシート状配列を示す細胞集塊が散在していた. 腫瘍細胞の細胞質は淡明で, 核は大型で大小不同を示し, 著明な核小体と細穎粒状のクロマチンを有していた. 症例259歳. 子宮は手拳大に腫大し, 子宮底部に乳頭状増殖病変を認めた. 組織診断はsolidtypeの明細胞腺癌であった. 右卵管転移を認め, 体癌IIIa期と診断. 細胞所見では, 平面的配列を示す細胞集塊が主体であった. 腫瘍細胞の細胞質は淡明で境界は比較的明瞭であり, 核径は症例1と比較して小さく大小不同も少なかった. 一部には, hobnail様の細胞も観察された.
結論:明細胞腺癌の細胞所見にその組織学的亜分類の差が反映される可能性が示唆されたが, 本症を類内膜腺癌から鑑別することがより重要と考えられた.

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