日本臨床細胞学会雑誌
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41 巻 , 5 号
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  • 則松 良明, 森谷 卓也
    2002 年 41 巻 5 号 p. 313-320
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:内膜増殖症の細胞診断精度向上のため, 良性内膜の細胞像について検討を行った.
    方法:細胞診・疑陽性, 組織診・良性内膜31例 (萎縮内膜14例, 増殖期内膜3例, 分泌期内膜6例, 不規則増殖内膜5例, ポリープ3例), 増殖症56例 (単純型14例, 複雑型42例) を対象とし, 各症例での異常細胞集塊出現率, 出現頻度, 化生上皮の出現頻度について検討した.
    成績:(1) 拡張腺管集塊の出現率・頻度は萎縮内膜, 増殖期内膜では低率. 増殖症, 分泌期内膜, 不規則増殖内膜, ポリープでは高率であった.(2) 不整形突出集塊の出現率は萎縮内膜, 増殖期内膜では増殖症と比べ高率であったが頻度に有意差はなかった.(3) 腺密集増殖集塊の出現率・頻度は良性内膜では低率で, 複雑型増殖症と出現率で有意差を認めた.(4) 化生上皮は萎縮内膜, 増殖期内膜では増殖症と比べ非常に高率であった.
    結論:現時点ではある程度の良性病変を疑陽性と判断し, 経過観察せざるを得ないように思われた. しかし, 異常細胞集塊の種類や出現率, 背景の細胞所見, 患者の年齢などを考慮に入れれば, より正確な診断が可能であると思われた.
  • 岡田 裕之, 松本 敬, 森川 美雪, 中平 隆志, 大村 光浩, 山本 浩嗣
    2002 年 41 巻 5 号 p. 321-326
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    目的および方法:歯肉アメーバはミトコンドリアを持たない真核生物の代表であるアメーバ類に属し, 絶対嫌気的環境で寄生する. 歯肉アメーバ症28例を, 臨床病理学的および微細構造を含め細胞学的に検討した.
    結果:アメーバ虫体は小型染色中心を伴う核と, ライトグリーン淡染性, PAS陽性の細顆粒状の胞体を有しており, Giemsa染色では濃青色の細胞境界の明瞭な外質が認められた. また, 虫体は食胞を有し, 白血球を貧食する栄養型として存在していた. 虫体は放線菌に随伴して認められることが多かった.
    画像解析において, 虫体の最大径は9.3~37.5μm (平均18.2±5.0μm), 面積が51.0~360.1μm2 (平均175.6±68.3μm2) であった.
    微細構造学的に, 虫体における胞体の外質と内質が明瞭に区別され, 外質が細胞小器官に乏しく突起を有していた. 内質にはグリコーゲン顆粒と種々の大きさの食胞が多数みられ, 食胞内には変性した細胞などが観察された.
    結論:歯肉アメーバ症28例を臨床統計的にみると, 60歳代と50歳代に出現することが多く, それらが過半数を占め, 放線菌と共存していた. 細胞学的および微細構造学的検索では, 歯肉アメーバは食胞を有し, 白血球を貧食しており, 栄養型として観察された.
  • 鶴田 誠司, 飯島 美砂, 野本 豊, 新保 千春, 根岸 春美, 星 和栄, 伊藤 秀明, 小山 徹也, 城下 尚, 鈴木 豊
    2002 年 41 巻 5 号 p. 327-334
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:甲状腺原発MALTリンパ腫と橋本病の鑑別を目的として細胞像を検討した.
    方法:甲状腺原発のMALTリンパ腫の8例および橋本病の5例を用いて各種細胞の出現率を算定した. 免疫組織化学により免疫グロブリン軽鎖のモノクロナリティーを確認した.
    成績:橋本病では小リンパ球が優位であったが, MALTリンパ腫では中型リンパ球が主体を占めた. 中型リンパ球はくびれた核と淡明な細胞質を有していた. 形質細胞, 類形質細胞も混在し認められた. 細胞標本においてもlymphoepithelial Iesion (LEL), follicular colonizationを示唆する所見が認められた. LELはMALTリンパ腫に特異的な所見で穿刺吸引細胞標本においても確認できた.
    結論:MALTリンパ腫と橋本病との鑑別には, 細胞の出現率を算定し主体をなす細胞を把握すること, 細胞形態の詳細な観察ならびにLELを見つけることが有用と考えられた.
  • 古市 佳也, 黒木 登美子, 金岡 明博, 三宅 秀一, 川辺 民昭, 浦田 洋二, 嶋田 俊秀, 鷹巣 晃昌
    2002 年 41 巻 5 号 p. 335-340
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:膀胱低異型度移行上皮癌 (transitional cell carcinoma: 以下TCC) の自排尿細胞診の診断精度を高める目的で, 膀胱低異型度TCC患者の自排尿に出現する長紡錘形細胞の細胞診断学的意義について検討した.
    方法:1995年から2000年の京都市立病院の初診患者で, 自排尿の細胞診後, 2ヵ月以内に経尿道的膀胱腫瘍切除 (transurethral resetion of bladder tumor: 以下TUR-Bt) が施行され, G1主体の膀胱低異型度TCCの病理診断が確定した患者群70例と, 良性膀胱粘膜病変を有する対照群28例の計98例を対象とした. 長紡錘形細胞の定義は, 核および細胞質が紡錘形を示し, クロマチンが増量し, 核の長径/短径比が3倍以上で, かつ核の短径軸でのN/C比が100%の細胞とした. Papanicolaou染色標本を鏡検し, 膀胱低異型度TCCにおける自排尿中の長紡錘形細胞出現の感度, 特異度, 陽性適中率, 陰性適中率を算出した.
    成績:感度18.6%(13/70), 特異度96.4%(27/28), 陽性適中率92.9%(13/14), 陰性適中率32.1%(27/84) であった.
    結論:自排尿に出現する長紡錘形細胞は特異度, 陽性適中率が高く, 膀胱低異型度TCCの自排尿細胞診における診断上の補助所見として重要と考えられた.
  • 太田 誠, 板持 広明, 金森 康展, 入江 隆, 紀川 純三, 寺川 直樹, 皆川 幸久
    2002 年 41 巻 5 号 p. 341-344
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮体部明細胞腺癌は体癌の約1~3%とまれな疾患である. 本症の2例を経験したので, 細胞所見を中心に報告する.
    症例:症例165歳. 子宮は鶏卵大で, 内腔の全体に乳頭状増殖を認めた. 組織診断はtubular typeの明細胞腺癌であった. 左閉鎖節に転移を認め, 体癌IIIc期と診断. 細胞所見では, 細胞境界不明瞭な重積性細胞集塊と一部にシート状配列を示す細胞集塊が散在していた. 腫瘍細胞の細胞質は淡明で, 核は大型で大小不同を示し, 著明な核小体と細穎粒状のクロマチンを有していた. 症例259歳. 子宮は手拳大に腫大し, 子宮底部に乳頭状増殖病変を認めた. 組織診断はsolidtypeの明細胞腺癌であった. 右卵管転移を認め, 体癌IIIa期と診断. 細胞所見では, 平面的配列を示す細胞集塊が主体であった. 腫瘍細胞の細胞質は淡明で境界は比較的明瞭であり, 核径は症例1と比較して小さく大小不同も少なかった. 一部には, hobnail様の細胞も観察された.
    結論:明細胞腺癌の細胞所見にその組織学的亜分類の差が反映される可能性が示唆されたが, 本症を類内膜腺癌から鑑別することがより重要と考えられた.
  • 中村 洋子, 長沼 孝雄, 大高 昌子, 松本 一仁, 池崎 福治, 福士 義将, 真鍋 麻美, 黒滝 日出一
    2002 年 41 巻 5 号 p. 345-348
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮体部原発の悪性リンパ腫はきわめてまれな腫瘍であるが, 今回子宮癌検診で発見された1例を経験したので報告する.
    症例:57歳女性.子宮癌検診の頸部擦過細胞診にて悪性リンパ腫が疑われ, 子宮内膜生検でBcell typeの非ポジキンリンパ腫と診断された.全身検索にて, 子宮体部以外に病変はみられず, 子宮体部原発悪性リンパ腫 (Ann-Arbor分類Stage IE) の診断のもとに, 準広範子宮全摘術と, 術後化学療法5クールが施行された.
    結論:今回のわれわれの症例は子宮体部原発にもかかわらず, 検診時の子宮頸部擦過細胞診にて発見された.その理由として腫瘍が子宮内腔に突出しており, 表面が壊死性で, 腫瘍細胞が剥離しやすかったことが考えられる.腫瘍細胞は弱拡大でリンパ球の集簇のようにみえたが, 核はやや大きく, 核形の不整が著明で, 悪性リンパ腫の診断は比較的容易であった.
  • 杁 貴司, 仙崎 英人, 萩本 美都子, 池谷 武彦, 大原 真由美, 三村 裕子, 赤松 孝子, 螺良 愛郎
    2002 年 41 巻 5 号 p. 349-352
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    はじめに: 子宮内膜癌の手術中, 腹腔洗浄液細胞診により, 両側性の卵巣表在性漿液性乳頭状腺癌 (ovarian serous surface papillary carcinoma; OSSPC) が発見された症例を経験したので報告する.
    症例:症例は58歳, 女性.閉経後不正性器出血を主訴に受診.内膜細胞診ならびに組織診にて子宮内膜癌と診断され, 子宮・両側付属器摘出術および骨盤内リンパ節郭清術が施行された.術中, 肉眼的には両側卵巣に著変は認めなかったが, 腹腔洗浄液細胞診にて少数のミラーボール状パターンをともなう大小不同のブドウ房状・八頭状の細胞集塊を認め, 卵巣原発の悪性腫瘍の存在が強く疑われ, 組織学的にOSSPCが両側卵巣に確認された.
    結論:腹腔洗浄液細胞診は, 肉眼上異常を認めない卵巣のOSSPCを診断する上において有用性が示唆された.
  • 鈴木 博, 井浦 宏, 窪澤 仁, 葛田 憲道, 岩崎 秀昭, 武田 敏
    2002 年 41 巻 5 号 p. 353-356
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:卵巣癌と子宮体癌との重複癌の報告はあるが, その大部分は両方ともに類内膜腺癌である.今回われわれは卵巣で粘液性嚢胞腺癌, 子宮体部で類内膜腺癌と同じ腺癌ではあるものの異なったタイプの重複癌を経験し細胞診断が可能であった症例について文献的考察を加え報告する.
    症例:51歳, 当院産婦人科を紹介され受診.エコー, CT, 腫瘍マーカー等により卵巣悪性腫瘍が強く疑われた.術前の内膜細胞診で腺癌を疑う細胞が認められ組織診を施行, 類内膜腺癌と診断された.その後子宮摘出+両側付属器切除術および骨盤内リンパ節郭清術を行った.
    結論:術中迅速捺印細胞診にて卵巣癌と子宮体癌は明らかに異なったタイプの腺癌と診断できたことにより, 重複癌の術中診断における細胞診の有用性が示された.
  • 鍵弥 朋子, 谷口 恵美子, 布引 治, 森 一郎, 尾崎 敬, 覚道 健一, 吉村 吾郎, 櫻井 武雄
    2002 年 41 巻 5 号 p. 357-359
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:術前の穿刺吸引細胞診で, 腫瘍細胞が孤立散在性に出現した乳腺乳管内乳頭腫の1例を経験したので報告する.
    症例:患者は40歳女性. 左乳房B領域に直径1cmの嚢胞性腫瘤が認められた. 穿刺吸引細胞診は疑陽性であったため生検が施行された. 細胞診では, 採取された細胞量は多く, ほとんど孤立散在性に出現していた. 細胞質広く, 赤色顆粒を有する大型細胞, 紡錘形細胞, N/C比高く, 核濃染性の小円形細胞など, 多種多様な細胞像であった. 免疫細胞化学的に, 大型細胞はEMA陽性, 小円形細胞等はa smooth muscle actin (a-SMA) 陽性であった. 組織像では, 拡張した乳管の中に乳管内乳頭腫が多量の凝固壊死巣と連続してみられた. 出血梗塞を合併した乳管内乳頭腫と診断された.
    結論:乳管内乳頭腫の細胞診では, 乳頭状集を形成するのが一般的特色である. しかし, 出血性梗塞を起こしたときには孤立散在性細胞が出現し, 癌と紛らわしいことがある.
  • 越川 卓, 鳥屋 城男, 広川 満良, 加藤 良平, 石原 明夫, 覚道 健一, 坂本 穆彦
    2002 年 41 巻 5 号 p. 360-367
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    甲状腺濾胞性腫瘍の細胞診における細胞判定のカテゴリーについて検討し,「良性」,「良・悪性判定困難」,「悪性の疑い」,「悪性」の判定区分を用いる新しい報告様式を提案した. 従来, 濾胞性腫瘍は疑陽性と判定されていたが, 実際には濾胞性腫瘍における悪性の頻度は10~20%程度と比較的低いため, 新しい報告様式ではこのような症例に対して「良・悪性判定困難」の判定区分を設けた. 新しい報告様式に関する試行の結果では「良・悪性判定困難」および「悪性の疑い」の2つの判定区分における悪性の頻度はそれぞれ10.5%, 50.0%と両者間に差を認め,「良・悪性判定困難」の判定区分を設ける意義が確認された.
  • 古堅 善亮, 荻島 大貴, 鈴木 千賀子, 竹田 桂子, 松本 俊治
    2002 年 41 巻 5 号 p. 368-369
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    A 54-year-old woman admitted in an emergency for fever of unknown origin was taking steroids for collagen disease. Her serum CA125 was slightly elevated. The gynecological examination was normal but a cervical smear revealed epithelioid cells and Langhans' giant cells. An examination of vaginal discharge was positive for Mycobacterium tuberculosis DNA. Tuberculosis must thus be considered in such cases. and a cervical smear may be called for.
  • 古田 則行, 都竹 正文, 佐藤 之俊, 神田 浩明
    2002 年 41 巻 5 号 p. 370-371
    発行日: 2002/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a rare case of intrasucrum dermoid cyst in a 52-year-old woman diagnosed by squash cytology. Intraoperative squash cytology showed admixtures of many anucleated and nucleated squamous cells, foamy cells, multinucleated giant cells, calcifying bodies, and a few sweat gland cells. Although diagnosis for the presence of only necrotic materials failed for a frozen section, a dermoid cyst was diagnosed by squash cytology based on typical findings. Squash cytology, is these useful in identifying such tumors.
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