目的:内膜増殖症の細胞診断精度向上のため, 良性内膜の細胞像について検討を行った.
方法:細胞診・疑陽性, 組織診・良性内膜31例 (萎縮内膜14例, 増殖期内膜3例, 分泌期内膜6例, 不規則増殖内膜5例, ポリープ3例), 増殖症56例 (単純型14例, 複雑型42例) を対象とし, 各症例での異常細胞集塊出現率, 出現頻度, 化生上皮の出現頻度について検討した.
成績:(1) 拡張腺管集塊の出現率・頻度は萎縮内膜, 増殖期内膜では低率. 増殖症, 分泌期内膜, 不規則増殖内膜, ポリープでは高率であった.(2) 不整形突出集塊の出現率は萎縮内膜, 増殖期内膜では増殖症と比べ高率であったが頻度に有意差はなかった.(3) 腺密集増殖集塊の出現率・頻度は良性内膜では低率で, 複雑型増殖症と出現率で有意差を認めた.(4) 化生上皮は萎縮内膜, 増殖期内膜では増殖症と比べ非常に高率であった.
結論:現時点ではある程度の良性病変を疑陽性と判断し, 経過観察せざるを得ないように思われた. しかし, 異常細胞集塊の種類や出現率, 背景の細胞所見, 患者の年齢などを考慮に入れれば, より正確な診断が可能であると思われた.
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