日本臨床細胞学会雑誌
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免疫二重染色を用いた細胞診標本における腺癌と扁平上皮癌の鑑別の可能性
池田 聡船越 尚哉鈴木 恵子木村 博本間 恵美子五十嵐 健一芝田 敏勝
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2003 年 42 巻 1 号 p. 5-9

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抄録

目的:肺扁平上皮癌で高率に発現する高分子ケラチン (34βE12) と肺腺癌に特異的にみられる Thyroid Transcription Factor-1 (TTF-1) を呼吸器細胞診標本に二重染色して, 少数出現する悪性細胞が腺癌か扁平上皮癌かを鑑別できるか検討した.
方法:68例の非小細胞肺癌 (腺癌43例, 扁平上皮癌20例, その他5例) の捺印標本に, まず34βE12を染色し, その後過熱による抗原賦活化処理を行い, TTF-1を染色した. また, 細胞診陽性と診断され, その後手術, 生検により組織型まで決定した20例の気管支洗浄細胞診標本 (以下, 洗浄標本) を脱色して同様な検討を行った.
成績:捺印標本では全例の扁平上皮癌が34βE12陽性でTTF-1陰性であった. 一方, 腺癌では65.1%が34βE12陰性で, TTF-1は95.3%で陽性であった. また, 34βE12の発現は腺癌の分化度と有意な逆相関がみられた. 洗浄標本では出現した1, 2ヵ所の悪性細胞について発現を検討したところ, 腺癌の16例中13例がTTF-1陽性で, 扁平上皮癌の4例中3例が34βE12陽性となった.
結論:34βE12とTTF1の二重染色は, 日常検査において細胞診標本上の悪性細胞を腺癌か扁平上皮癌か鑑別する場合有用である.
また, 腺癌における34βE12の発現減弱は腫瘍の分化度を反映する可能性が示唆された.

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