日本臨床細胞学会雑誌
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子宮体部原発の小細胞癌と腺棘細胞癌が共存した1例
長田 憲和岩下 寿子藤谷 真弓三野 直純山本 嘉昭
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2004 年 43 巻 1 号 p. 38-41

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抄録
背景:子宮体部に小細胞癌と腺棘細胞癌が共存し, 多彩な細胞像を呈した1例を経験したので報告する.
症例:52歳, 女性. 不正性器出血を主訴に当院を受診し, 内膜細胞診では3種の腫瘍細胞が出現していた.(1) 重積性と軽~ 中等度の異型を有する腺癌細胞,(2) 異型に乏しい扁平上皮細胞,(3) 裸核状で, 核形不整と細穎粒状クロマチンを示す小型類円形細胞.広汎子宮全摘出術後の検討では, 小型の腫瘍細胞は壊死を伴って充実性に増殖し, NSEとchromogranin Aが明らかに陽性で, 小細胞癌 (神経内分泌癌) と診断された.また, 腺棘細胞癌 (Grade 1) の共存があったが, 両者に移行像はなかった.
結論:子宮内膜細胞診において上述した (3) の所見が認められた場合には, 小細胞癌の存在も念頭に置き, 同時に類内膜腺癌などと共存する例が多いことに留意して鏡検する必要があると思われた.
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