日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部細胞診が発見の契機となったExtraovarian peritoneal serous papillary adenocarcinomaの1例
吉田 好雄宮崎 ミカ黒川 哲司河原 和美今村 好章山本 宝紙谷 尚之小辻 文和
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2004 年 43 巻 1 号 p. 42-46

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抄録
背景:腹膜原発のextraovarian peritoneal serous papillary adenocarcinoma (EPSPC) は, 腹膜表面の播種性腫瘤が主病変である比較的まれな疾患である. 子宮頸部細胞診が発見の契機となった, 腹膜原発のEPSPCの1例を経験したので報告する.
症例:57歳, 閉経50歳, 定期の子宮頸部細胞診で異常を認めたため精査目的で入院となった. 入院時の細胞所見は, 比較的きれいな背景の中に, 核・細胞質比の高い腺癌細胞が, 平滑で丸みを帯びた小集塊として認められた. 腫瘍マーカー検査ではCA125, CA72-4が異常高値を示した. 円錐切除診では明らかな腺癌組織を認めず, 子宮内膜組織診で一部腺癌組織を認めた. 子宮体癌の診断で開腹術を施行した. 子宮および卵巣に明らかな病変を認めず, 腹腔内に多数の播種性病変を認めた. 組織学的には子宮内膜, 卵巣実質に腺癌組織を認めなかったが, 播種性病変には砂粒体を伴った腺癌組織を認めた. 以上の開腹所見と組織所見より, 腹膜原発のEPSPCと診断した.
結論:子宮頸部細胞診で腺癌細胞を認めたときは, 子宮原発の腺癌や卵管, 卵巣由来の腺癌以外に, 腹膜原発のEPSPCも念頭に置くべきである.
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