日本臨床細胞学会雑誌
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子宮頸部細胞診の日米比較
日母分類とべセスダシステム
武井 英博Bernardo RUIZI高橋 真紀鈴木 博義手塚 文明
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2005 年 44 巻 3 号 p. 111-117

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抄録

目的:子宮頸部細胞診の日米 (日母分類1997と2001, 年ベセスダシステムに基づく) の診断の違いを検討した.
方法:材料は米国で細胞診断医によって診断, 報告された頸部細胞診標本109例を用いた. 日本側の分類を日本の細胞検査士が担当し, 日米の診断を比較した. 完全一致 (complete agreement以下, CA) と部分的一致 (partial agreement以下PA) について検討を行い, さらに米国の意義不明異型扁平上皮細胞 (atypical squamous cells of undetermined significance以下ASC-US) が日本側でどのように分類されているかを調べた.
成績:全体としてのCA, PA率はそれぞれ39.4%で, CAは高度扁平上皮内病変 (high-grade squamous intraepithelial lesion以下HSIL), 軽度扁平上皮内病変 (low grade squamous intraepithelial lesion以下HSIL), 反応性変化/陰性, それぞれ, 84.6, 41.4, 74.1%であった. ASC-USは日本側で, それぞれ, 約50, 40%が反応性変化, 軽度異型成 (mild dysplasia) に分類されていた.
結論:両国の診断の一致率は比較的高く (CA+PAで約80%), HSILと反応性変化/陰性に関しては, 両国の診断の差異は少ないものと考える. 一方, この間の分類 (特にLSIL) の一致率は低く, 日米の診断システムの違いはこの差によるところが大きいものと考えられる.

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